水星のコアは流動体
ネタ元:コーネル大学Cornell Chronicle Online Home Page
原題:Mercury has molten core, Cornell researcher shows
出展のリリース日:2007-05-03
1970年代、マリナー10号が水星に磁場を発見した。
それ以来、水星のコアにまつわる論争が30年間続いている。
水星のコアは固体なのか?あるいは流動体(液体)なのか?
磁場の発生メカニズムはダイナモ理論によって、説明される。
流動体の金属コアが回転することによって、発電機の機能を果たし、磁場が生じるのである。
ダイナモ理論にとって金属コアは必ず流動体でなくてはならないのだ。
一方、水星クラスのサイズの惑星は、内部の熱は逃げてしまっているため、コアは固体化していると考えるのが常識だ。
従って、ダイナモ理論では、水星の磁場は説明不可能なのである。
固体説では、ダイナモ理論以外のメカニズムで水星に磁場が生じていると考える。
一方で流動体説は、低融点の物質がコアに混入し、未だコアは固化していないと主張する。
この論争の決着への第一歩が、コーネル大学によって報告された。
この報告によると、水星のコアは流動体であるという。
ゆでタマゴと生タマゴをそれぞれ回転させると、生タマゴは、ゆでタマゴよりも大きくフラつく。
中身が流動体(生タマゴ)か固体(ゆでタマゴ)かの違いは、タマゴの回転に現れるのだ。
このタマゴを水星に置き換えてのが、コーネル大学の研究グループである。
研究グループは、アレシボ、ゴールドストーン、グリーンバンクの3つの電波望遠鏡を動員して、水星の自転のフラつきをレーダーで測定したのだ。
水星表面は、照射されたレーダー波を反射する。
水星の表面は様々な地形で覆われているので、反射波は地形に応じて強弱がつく。
反射波は、水星の自転によって強弱のパターンとなって受信される。
水星の自転がフラつけば、強弱のパターンにズレが生じる。
強弱のパターンのズレを捕捉すれば、水星の自転のフラつきが分かるのだ。
測定されたフラつきの量は、仮に水星のコアが完全に固体だった場合よりも、かなり大きかった。
つまり、コアは流動体なのである。

地球と水星の内部構造
出展:New Scientist
コアは流動体であれば、なぜ、小型の水星のコアは固化を免れたのだろうか?
硫黄など、融点の低い物質が水星のコアに混入しているという説もある。
マリナー10号以来、30円年ぶりに水星へ向かう探査機メッセンジャーは、水星表面の組成分析や地形図のマッピングを行う。
流動体コアの謎解きは、メッセンジャーに託されているのだ。