ビーナス・エクスプレス、金星周回500日
ネタ元:ESA:500 days at Venus, and the surprises keep coming
出展のリリース日:2007-09-07
ビーナス・エクスプレスは、ESA[ヨーロッパ宇宙機関]が開発した無人の金星探査機である。
2006年4月に金星の到達し、それ以来、金星を回る人工衛星となって観測を続けている。

ビーナス・エクスプレス
出展:ESA
似た探査機にマーズ・エクスプレスがある。
マーズ・エクスプレスは火星を周回中の探査機であるが、実はマーズ・エクスプレスとビーナス・エクスプレスは共通で設計された探査機なのだ。
機体を共通とし、行き先が「寒い火星」か、「熱い金星」かによってオプションを変え、火星用・金星用といった各探査に対応しようというわけだ。
具体的には、火星に比較して金星は太陽熱が4倍強い。
このため、ビーナス・エクスプレスには耐熱シールドが設けられ、太陽電池パネルが小型になっている。
(詳細は割愛するが、彗星を探査するロゼッタも共通設計だ。)
2007年9月、ビーナス・エクスプレスの金星周回が500日を超えた。
これまでのところ、ビーナス・エクスプレスには目立ったトラブルもなく、順調な探査を続けている。
ビーナス・エクスプレスに搭載された観測機器がフルに稼動しても、金星が遠いとすべてのデータを地球に送ることができない。
伝送スピードが低下するので、22kbit/s程度の能力しか出せない。
最先端の探査機なのに、少し前のパソコン用モデム並みの性能になってしまうのだ。
一方で、金星が地球に接近したときは広範な探査のチャンスとなる。
伝送スピードが改善するので、多くのデータを得ることができるからだ。
2007年8月が、この時期にあたった。
多くの観測データの中で、最も興味深く、謎であるのが金星の大気機構の解明である。
金星の大気は濃く、厚い雲に覆われている。
地表付近の気圧は地球の90倍もある。
ビーナス・エクスプレスに搭載した特殊カメラVIRTIS[Visible and Near-Infrared Mapping Spectrometer]によると金星の大気の状態は、日々激しく変化するらしい。
赤道付近には大規模な対流が、南北極付近には直径2000キロメートルの渦がある。
南北極の渦は刻々と形が変化する。
ビーナス・エクスプレスの500日間の探査を通して、膨大なデータが収集された。
しかし、その解析はまだ始まったばかりである。