比推力を語る。

トップページ＞宇宙開発と探査の目次＞ロケット工学＞比推力

比推力とは

推力

比推力の前に推力と推進剤について確認しておこう。

ロケットは燃焼ガスを噴射し、その反動で上昇する。
推力とは、ロケットを上昇させる能力のことだ。
より重い物体を上昇させるには、より大きな推力が必要となる。

打ち上げ時、ロケットは燃焼ガスを一瞬だけ噴射するのではなく、継続して噴射し続ける。
噴射し続ける限りロケットは上昇する。
つまり、推力が維持されるのである。

推力を高める方法は次の二つだ。

• 1秒あたりに噴射される燃焼ガスの量を増やす
• 燃焼ガスの噴射スピードを速くする

より多くの燃焼ガスをより速いスピードで噴射すれば、より大きな推力が得られるのである。
1トンのロケットを持ち上げるためには、1トンを超える推力が必要となる。
[..推力について詳しく見る..]

推進剤

ロケットは燃料だけでは、噴射できない。
宇宙空間には、燃料を燃やすための酸素がないからである。

そこで、ロケットには燃料と供に酸化剤も積み込まれることになる。
酸化剤は、酸素の役目を持つ薬剤である。
燃料と酸化剤を合わせて推進剤と呼ぶ。

ロケットの全重量には推進剤も含まれている。
ロケットが点火されると推進剤の消費が始まり、時間とともに推進剤は減っていく。
つまりロケットが噴射を継続すると、ロケットの全重量は減少するのである。

推進剤の性能と比推力

比推力とは、推進剤の性能を示す値である。

推進剤の重量・体積が同じであれば、より大きな加速が得られる推進剤が有利である。
得られる加速が同じなら、推進剤を使い切るまでの時間が長い方が性能がいい。

そこで、推進剤の性能を示す指標が必要となった。
この指標を比推力だ。

比推力は、
1キログラムの推進剤を燃焼させたとき、1Nの力を何秒間維持できるか
で評価する。

「推進剤を使い切るまでの時間」を単位質量・単位推力で比較した値が比推力である。
時間を表現する量なので単位は「秒」である。

このページのTOPへ