ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

真空の宇宙で、なぜ太陽は燃えるのか?

Question

モノが燃えるためには酸素が必要なのに、宇宙空間は真空である。
宇宙には空気がない(酸素がない)のに、なぜ太陽は燃えることができるのか?




Answer

太陽は本当は燃えていない

太陽は燃焼していない
太陽は燃えているように見えるが燃焼で輝くのではない。核融合反応で熱と光を放っている
出展:NASA

空気(酸素)がないとモノは燃えない。
燃焼には酸素が必要だからだ。
太陽の大部分は水素で、酸素はほとんど含んでいない。



酸素のない宇宙で、なぜ太陽は燃えるのか?
この謎を明らかにするために、「燃えること」つまり燃焼について確認しておこう。



物質が酸素と化合して、熱と光を発する現象を燃焼という。
このため、モノが燃えるには酸素が不可欠なのである。
太陽にもごくわずかの酸素が含まれているが、燃焼の役に立つ量ではない。



ここから言えることは、太陽は燃焼していない ということである。

太陽は燃えているように見えるが、実は燃えていないのだ。



太陽は燃焼とはまったく違う原理で熱と光を発している。
その原理は、核融合反応だ。
太陽の強力な熱と光は、核融合反応によって生成されるのである。




太陽が燃える原理:核融合反応とは

物質の構成単位を原子といい、その中心部を原子核という。
元々、原子核は不変の単位であると考えられてきた。
ところが、原子核は分裂や合成によって、他の原子核に変化することが発見されている。



水素を一か所に集め、およそ1000万Kを超えるような高温・高圧になると、4つの水素原子核が反応し、1つのヘリウム原子核が生成される。
これが水素核融合反応である。



「水素原子核4個分」と「ヘリウム原子核1個分」の重さを比較すると、ヘリウム原子核1個分の方が軽い。
水素原子核4個がヘリウム原子核1個に合成されるときに、少し軽くなる。
つまり、質量が余ってしまうのだ。



余った質量の行き先はエネルギーに転換されるしかない。
核融合によって余った質量がエネルギーとなって解放されるのだ。
このエネルギーは光・熱として放射される。



太陽の大部分は水素ガスである。
水素ガスが大量に集まることによって重くなり、重力によって収縮しようとする。
ところが収縮すると、中心部の圧力が上昇し、温度も高くなる。
このため、太陽の中心部で水素核融合反応が起こる。



水素核融合反応は、太陽が輝く原動力であると同時に、水爆の原理でもある。
そのエネルギーの効率は燃焼の比ではない。
太陽が46億年以上も輝いていられるのは、核融合反応の効率がいいからである。
もし、太陽が燃焼によって光と熱を放っているとしたら、人類が誕生するはるか以前に燃え尽きているはずだ。



星は核融合反応で輝く

水素核融合反応は太陽に限らず、主系列星はみな、この原理で輝いている。



星は核融合反応によって膨張する勢いと、自重によって収縮しようとする勢いがほどよくバランスする。
このため、主系列星はサイズや熱量が安定しているのである。



赤色巨星になると自重によって収縮しようとする勢いが減少するため、核融合反応によって膨張する勢いが勝ってしまう。
このためバランスが崩れて、星全体が膨張するのである。

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参考文献・サイト

NASA/Marshall Solar Physics

2008/01/01
2008/11/14
2015/08/15
2016/03/25



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