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赤色巨星を語る。

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赤色巨星とは

恒星の生涯と赤色巨星


末期に近づいた恒星赤色巨星である。



主系列星の原動力は核融合反応である。
核融合反応とは、燃料の水素がヘリウムに変換されるときに解放されるエネルギーによって、主系列星は輝くのだ。

もっとも、核融合反応は燃焼反応ではない。
燃料という表現は正しくないが、イメージを掴みやすくするためにあえて「燃料」と表現する。



水素が燃料なら、反応後のヘリウムは「燃えカス」に相当する。



恒星は自重で収縮しようとするが、同時に核融合反応により膨張しようとする。
この二つがバランスするので、恒星のサイズは安定するのである。



核融合反応で生じた燃えカスのヘリウムは、中心部に少しずつ溜まっていく。
長い年月の後には、主系列星の中心部にはヘリウムの中心核ができあがる。
ヘリウムの中心核は核融合反応を起こしにくい。




赤色巨星は、なぜ巨大なのか

ヘリウムの中心核の周囲では、依然として水素が核融合反応を続けていく。
当初は、恒星の中心で起こっていた核融合反応であるが、中心にはヘリウムの中心核が居座ってしまった。
そのため、核融合反応を起こすエリアはヘリウムの中心核の周囲に移ったのだ。



核融合反応を起こすエリアが外側にシフトしたということは、恒星を膨張させようとする勢いが強まり、恒星が自重で収縮しようとする勢いを上回ることを意味する。
このため、恒星は膨張を開始する。



膨張すれば恒星の表面積が増大する。
恒星表面の単位面積あたりのエネルギーが小さくなるので、温度は下がる。
温度が低いと、放射される光の波長は長くなる。
つまり赤くなるのだ。



この状態の恒星赤色巨星という。
サイズが大きく色が赤いから、赤色巨星というのだ。

赤色巨星の代表例ミラ
ハッブル望遠鏡による赤色巨星ミラのアップ
出展:NASA:Hubble Site





赤色巨星のその後

恒星は赤色巨星に至れば、それで終わりではない。



ヘリウムの中心核も自重で収縮すると、やがて核融合反応を起こすに至る。
燃えカスであるヘリウムが、今度は燃料となって炭素、酸素に変換されるのだ。
炭素、酸素の中心核ができると、ヘリウムによる核融合反応のエリアは外側へとシフトする。
このため、恒星はさらに膨張する。



さらに質量が大きな星では、炭素・酸素の中心核でも核融合反応を起こせるため、もっと重い元素が中心に溜まっていく。
質量の巨大な恒星は、これを繰り返し、最終的には鉄の中心核ができあがる。
鉄はもう核融合反応は起こさない。



赤色巨星はサイズが大きいため、外層部は重力による束縛が弱い。
そのため、赤色巨星は外側からわずかずつガスを失っていく。
ガスは球殻状に宇宙空間を広がっていく。
これが惑星状星雲だ。



ガスをすべて失ってしまうと、中心核がムキ出しになる。
これが白色矮星である。
白色矮星は核融合反応を終えた星であり、余熱のみで輝いている。



恒星の元々の質量が大きいと、重力崩壊よって超新星爆発を起こす。
このとき中心に残る星が中性子星となる。
さらに巨大な質量の恒星では、中性子星ではなくブラックホールが残る。





HR図と赤色巨星

恒星スペクトル絶対等級の関係を示したグラフをHR図という。
HR図を見ると、赤色巨星は右上(②の場所)にプロットされる。
この場所は「低温だが、明るい星」を表している。

HR図と赤色巨星

主系列星は「高温ほど明るい」のが常識だ。
ところが、赤色巨星は「低温なのに明るい」のである。

「温度が低ければ、光を放つ量も少ない」のに明るいということは、その星の「表面積が広い」ということを示している。 少ない光を広い面積でカバーするからだ。



「表面積が広い」とは、その星が大きいということである。
赤色巨星は非常に大きい。
例えば、ベテルギウスの直径は太陽の約650倍もある。





赤色巨星と赤色超巨星

赤色巨星のうち、質量が太陽の10倍以上、直径が太陽の数百倍以上の星を赤色超巨星という。



アルデバラン

アルデバランおうし座のα星である。
すでに水素の核融合を終え、ヘリウムによる核融合が始まった赤色巨星である。
アルデバランは、13.5等級の赤色矮星を伴星とする二重星でもある。
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アンタレス

アンタレスさそり座のα星である。
非常に赤い赤色巨星であるため、ギリシア語で「火星に対抗するもの」という意味がある。
アンタレスの直径は太陽の600倍以上もある。
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ベテルギウス

ベテルギウスオリオン座のα星である。
ベテルギウス脈動変光星であるため、リゲルより明るくなるのは、極大期前後の期間に限られている。
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ラス・アルゲティ

ラス・アルゲティは、ヘルクレス座のα星である。
5.4等の伴星を持つ赤色巨星である。




ガーネット・スター

ケフェウス座μ星をガーネット・スターという。
現在発見されている赤色巨星では、最大級のサイズである。
肉眼で見える恒星に限れば、ガーネット・スターが最も巨大と考えられている。
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赤色巨星の関連ネタ

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参考文献・サイト

Definition of a Red Giant Star
HubbleSite
Solar Physics
国立天文台 アストロ・トピックス (445)

2007/05/09
2008/01/30



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