ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

惑星状星雲を語る。

トップページ星雲と星団の目次惑星状星雲

惑星状星雲とは

赤色巨星のうち、質量が太陽の8倍以下の星は周囲のガスを散逸して超新星にならずに白色矮星へ進む。



散逸したガスが白色矮星の周囲を取り囲んでいる天体を惑星状星雲という。
惑星状星雲という名称ではあるが、惑星とは無関係だ



銀河系外星雲ならアンドロメダ大星雲(M31)散光星雲ならオリオン座大星雲(M42)が肉眼で観測できる。
しかし、肉眼で観測可能な惑星状星雲は一つもない。





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惑星状星雲の特性

惑星状星雲の由来

どんなに性能の優れた望遠鏡であっても、恒星は点光源にしか見えない。
一方で、惑星は小型の望遠鏡でも、面積を持つ像となって見える。



惑星状星雲という名称は、ウイリアム・ハーシェル[William Herschel]が命名した。
ハーシェルは天王星の発見者である。



ハーシェルの時代の望遠鏡の性能では、惑星状星雲はぼんやりとした円形にしか見えなかった。
ハーシェルは、天王星を連想し惑星状星雲と命名したのだ。

余談ではあるが、球状星団の命名者もハーシェルである。




惑星状星雲の特色

質量が太陽の0.5〜8倍程度の恒星は、水素が少なくなると膨張し赤色巨星へと移行する。
このとき、外層のガスは重力の束縛を振り切って、宇宙空間へと散逸していく。
ガスを失った星は、中心核のみがムキだしとなり白色矮星になる。



周囲に広がったガスは、中心の白色矮星の放射に刺激を受け電離し発光する。
これが惑星状星雲だ。



ガスは白色矮星を中心に球殻状に広がるのではなく、樽(たる)状に広がっていく。
しかも、上ふたと底板のない筒抜けの樽だ。



この樽を真上(または真下)から見ると、リング状の星雲に見える。
この例がこと座M57だ。



この樽を真横から見ると、太った樽のように見える。
この場合の例がこぎつね座の亜鈴状星雲M27になる。




惑星状星雲の分布

我々の銀河系内では、約3000個の惑星状星雲が発見されている。
その大部分は銀河平面に沿って分布し、特に銀河中心方向に多く集中している。



惑星状星雲を含む球状星団も確認されている。
M15M22、NGC6441、Palomar6がそれに相当する。





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惑星状星雲の例

M57 / こと座のリング星雲

惑星状星雲の代表例がこと座M57である。
M57は、M27に次いで2番目に発見された惑星状星雲である。

惑星状星雲:M57
出展:Hubblesite

M27の発見から15年後に、ダキア[Darquier]が発見した。
メシエも数日後に、独立してM57を発見しカタログに収載している。
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M27 / こぎつね座の亜鈴状星雲

M27は比較的大きな惑星状星雲である。
惑星状星雲発見の第一号でもある。

惑星状星雲:M27
出展:CCD Imaging wtih Refractors and
RC Optics

見かけのサイズは15秒である。
の中心の白色矮星は13.8等である。
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M97 / おおぐま座のふくろう星雲


M97/おおぐま座のふくろう星雲は1万2000光年離れた惑星状星雲である。

惑星状星雲:M97
惑星状星雲:M97
出展:starryskies

おおぐま座のベータ星から約2度南西にある。

二つの円形のマークが目玉を連想させるため、ふくろう星雲の別名を持つ。
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M76


M76ペルセウス座にある惑星状星雲で小亜鈴状星雲とも呼ばれている。

惑星状星雲:M76
惑星状星雲:M76
出展:starryskies

M76は、放出されたガスが秒速42キロメートルで広がっている。
M76の中心の星は、光度16.6等、表面温度6万度の白色矮星である。
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NGC2392 / エスキモー星雲


NGC2392はふたご座の惑星状星雲である。
ウィリアム・ハーシェルが1787年に発見した。
毛皮のフードを被ったエスキモーのように見えることからエスキモー星雲とも呼ばれている。

外側のガスは1万年前から拡散が始まっている。
内側の構造は中心の恒星から噴出した粒子らしい。






NGC7009 / 土星状星雲


NGC7009はみずがめ座の惑星状星雲である。
ウィリアム・ハーシェルが1782年に発見した。
土星のように見えることからロス卿によって土星状星雲と命名された。

土星状星雲までの距離は分かっていない。
2400光年、3900光年などの諸説がある。






NGC7293 / らせん状星雲


NGC7293はみずがめ座の惑星状星雲である。
ハーディングが1824年ごろに発見した。
この惑星状星雲は1万1000年前から広がっていると考えられている。

らせん状星雲までの距離は約700光年と見積もられている。
惑星状星雲としては、比較的近距離にある。





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惑星状星雲のFAQ

惑星状星雲とは何ですか?

赤色巨星は、周囲にガスを散逸して白色矮星へと変化します。
このガスが白色矮星からの放射を受けて輝いている天体が惑星状星雲です。




惑星状星雲と惑星の関係は?

惑星状星雲は惑星と無関係です。
低解像度の望遠鏡で観測すると天王星のように見えるので、ハーシェルが惑星状星雲と命名しました。
(ハーシェルは天王星の発見者)




惑星状星雲の寿命は?

惑星状星雲の正体は、赤色巨星から散逸しつつあるガスです。
ガスが完全に広がってしまったときが惑星状星雲の寿命です。
このため惑星状星雲の寿命は非常に短く、早いもので1000年、長寿でも10万年以下です。

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参考文献・サイト

理科年表オフィシャルサイト/天文部:惑星状星雲
日本惑星協会:様々な惑星状星雲
国立天文台 アストロ・トピックス (1):巨大な惑星状星雲の発見
Planetary Nebulae
A Planetary Nebula Sampler
Astronomy Picture of the Day
News Release Archive: Entire Collection
Astronomy Picture of the Day

2008/09/13



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