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天王星を語る。

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天王星とは、どのような惑星なのか

天王星土星のすぐ外側を84年で公転する、太陽系の第7惑星である。



水星金星火星木星土星は有史以前から知られていた惑星だ。
これら惑星の発見者はまったく分かっていない。



これに対し、天王星は近代(1781年)になって新たに発見された惑星だ。

天王星
天王星
出展:Solar System Exploration:Uranus


天王星は6等級のため、空の条件がよければ肉眼でも見ることができる。
このため、肉眼で見える惑星としては最も遠い。



天王星のデータ
公転周期84.25301年
会合周期369.66日
自転周期0.7183日
(約17時間14分)
質量地球の14.536倍
半径2万5559km
(地球の約4倍)
太陽からの距離19.21845AU

出展:天文年鑑

天王星巨大惑星ではあるが、木星とは違って青味がかった色をしている。
近年では、巨大氷惑星として分類されている。



巨大惑星でありながら、天王星の質量は木星の1/20にすぎない。
しかし、それでも地球質量の14倍以上ある。





天王星の特色

天王星のリング(環)

以前は土星のみが例外的にリングを持つと考えられていたが、今日では、4つの巨大惑星はすべてリングを持つことが確認されている。

天王星は、土星の次にリングが発見された惑星でもある。


天王星のリング
天王星のリング
出展:Solar System Exploration:Uranus

1977年に天王星が、SAO 158687という恒星を掩蔽した。
掩蔽とは天体が他の天体を隠す現象のことだ。

この掩蔽を観測したのが、カイパー空中天文台だ。
掩蔽が起こると、背後の恒星の光が消失する。


天王星は大気を持っているので、掩蔽時の背後の恒星は、パッと消失せず時間をかけて減光する。
カイパー空中天文台のチームは、この減光の特性を観測し天王星の大気を調べようとしていたのだ。



ところが、掩蔽がスタートする前から恒星が5回減光したのだ。
掩蔽後も同様に恒星が5回減光した。
この観測結果から、天王星の周囲は5重のリングによって、取り巻かれていると分かったのである。


その後、天王星のリングボイジャー2号によって11本が確認されている。
どのリングも暗いが、10メートル程度の岩石も含まれている。
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天王星の大気

天王星の大気の主成分は水素で83%を占める。
その他に15%のヘリウムと2%のメタンを含む。
メタンはたった2%であるが、その効果は大きい。



メタンは、赤い光を吸収し、それ以外の吸収されなかった光が天王星の青味がかった色なのだ。
天王星の青味がかった色は、メタンの作用なのである。
天王星の大気中には微量ながら、水やアンモニアも存在する。


海王星もメタンによって特有の色を示す。
しかし、海王星と天王星で色合いが異なるのは、まだ検出されていない微量の物質によるものと推測される。


上層の雲から7500キロメートルの深さにはアンモニアと水からなる液体の海があるようだ。
中心部には、岩石と氷でできた地球サイズの核がある。




自転軸の傾斜

天王星の自転軸は90度程度傾いている。
つまり天王星の自転軸はほとんど黄道面と等しいのだ。
太陽系が誕生した頃、地球サイズの天体が天王星に衝突し、自転軸が横倒しになったと考えられている。
この衝突のときの残骸が、リングになったようだ。



自転軸が黄道面に近いと、どちらの極を北極とするかで、論争も生じる。
天王星の自転方向が順行なのか、逆行なのかという判断も困難になるのだ。



自転軸が90度程度傾いているのであれば、天王星の季節の変化は激しいことが予測される。
公転周期は84年だ。だから天王星の北極から42年間太陽が見えるが、残りの42年間は暗黒になる。
ところが、夏と冬の気温差は大きくない。



これは、天王星が太陽から遠いためだ。
天王星は太陽から、地球の場合の20倍も離れている。




天王星の磁場

天王星は磁場を持っている。
その強度は地球の48倍だ。

この磁極は天王星の自転軸に対して59度傾いている。
さらに、磁極の中心も天王星の中心から1/3ほどずれている。

この磁場は、荷電粒子を捕捉して天王星の周囲に放射帯を形作っている。




天王星の衛星

今までのところ、天王星を訪れた探査機は1986年のボイジャー2号のみだ。
天王星の衛星のうちの10個は、このとき発見されたものである。
現在では、天王星の周囲に合計27個の衛星が確認されている。(2007年4月現在)



天王星の衛星はネーミング方法がユニークだ。
太陽系の他の惑星衛星の名はギリシャ神話からチョイスされる。
ところが、天王星の衛星はウィリアム・シェイクスピア(劇作家)、またはアレキサンダー・ポープ(詩人)の作品中から命名されているのだ。
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天王星の季節変化

ボイジャー2号が到達したとき、天王星の南極がほぼ太陽の方向を向いていた。
このとき、赤道よりも南極の方が、太陽から受けるエネルギーは多いことになる。
ところが、天王星の赤道は南極よりも高温であることが観測されたのだった。
この理由は未だ、解明されていない。



ボイジャー2号は、天王星表面の縞模様も発見している。
天王星の縞模様は、木星に比較して非常にかすかなものでしかなかった。
ところが、1999年になってハッブル宇宙望遠鏡が、天王星表面の活発な様子を撮影した。



ボイジャー2号とハッブル宇宙望遠鏡の観測結果の差は、天王星の季節変化によるものと考えらている。





天王星探査

天王星を訪れた探査機はボイジャー2号しかない。
今後の天王星探査も具体的な計画はない。



ボイジャー2号

ボイジャー2号は、1986年1月24日に天王星に8万キロまで最接近した。
この探査によって、ボイジャー2号は天王星の新たな衛星10個を発見した。


90度程度傾いた自転軸の影響で、天王星には特有の気象現象があることも確認された。


ボイジャー2号は天王星探査の後、海王星に向かった。




天王星のその他のウンチク

フラムスティード番号と天王星

ジョン・フラムステイードは、グリニッジ天文台で働いた天文学者である。
フラムステイードが恒星に付けた番号がフラムスティード番号だ。
例えば「はくちょう座61番星」などと表記する。



天王星はウイリアム・ハーシェルによって発見された。
しかし、それ以前にフラムスティードは天王星を見ていたが、それが未知の惑星であるとは認識できなかった。



てっきり恒星だと思い込んだフラムスティードは、天王星をおうし座34番星として記録した。
このため、おうし座では34番星は欠番になっている。




天王星のFAQ

天王星は、誰が発見したのですか?

ウイリアム・ハーシェルが1781年に発見しました。
6等級のため、条件がよければ肉眼でも確認できます。
そのため、ハーシェル以前に恒星として観測された記録が多く残っています。




天王星型惑星とは何ですか?

ガスと氷からできている巨大惑星を天王星型惑星といいます。
天王星と海王星がこれに分類されます。

天王星と海王星は、従来、木星型惑星に分類されていました。
しかし、研究が進むにつれて木星土星との成分の違いがはっきりしたため、天王星型惑星というグループを分離したのです。




天王星の自転軸はなぜ倒れているのですか?

天王星の自転軸は横倒しになっています。
その理由は分かっていません。

天王星が生まれたころ、大きめの天体が衝突しという説が有力です。

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参考文献・サイト

The Nine Planets Uranus
Solar System Exploration:Uranus
ESO Press Photos 31a-b/02
Welcome to the Planets:uranus
World Book at NASA:Uranus

2008/09/01
2009/07/30



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