ホーキング織野の

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球状星団を語る。

トップページ星雲と星団の目次球状星団

球状星団とは

球状星団の形

数十万個程度の恒星が重力によって球状に密集した天体を球状星団という。

球状星団
球状星団M80
出展:NASA NIX

球状星団は直径100光年程度の範囲に数十万個の恒星がひしめきあっている。

そのため、恒星を束縛する重力は非常に強力だ。

この作用によって、球状星団は球対称となるのである。




球状星団の中心に向かうほど、恒星の密度は高くなる。

中心に巨大なブラックホールを持つ球状星団もある。





散開星団は、ゆるくまとまっているので、時間の経過と共にバラバラに散っていく。
ところが球状星団は重力で強く結びついている。
このためバラバラになることはなく、球状にまとまっているのだ。




球状星団の分布

太陽は単独ではなく、約2000億個の恒星とともに巨大なグループを作っている。
このグループが銀河系だ。
銀河系は、直径10万光年の円盤型をした渦巻きである。



球状星団の分布には特色がある。
球状星団は銀河系の周囲を包むように分布していて、銀河系の円盤部(ディスク)には存在しない。

球状星団の分布
球状星団は銀河系を包むように分布している。


銀河系を周囲から包みこむ領域をハローという。
球状星団はハローに分布しているのである。


バルジにも球状星団が分布している。
ハローの球状星団は金属が少なく、バルジの球状星団には金属が多い。



現在までのところ、銀河系の周囲には約150個の球状星団が確認されている。



他の銀河の周囲にも同様に球状星団が存在する。
アンドロメダ大星雲M31の周囲にも、500個程度の球状星団が確認されている。
楕円銀河M87の周囲には1万個の球状星団が分布している。






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球状星団の特色

我々の銀河に限らず、他の銀河にの周囲にも球状星団は存在する。



球状星団を構成する星は非常に古く、みな種族IIに属する恒星だ。
しかも、単に古い恒星であるだけでなく、そろって年齢が同一なのである。

これは、球状星団に含まれる恒星は同時に生まれたことを意味している。




シャプレーの分類

シャプレーは球状星団の密集の度合いを示す指標を考案した。
この指標では、密集の状態をローマ数字を使用し12段階で表現する。
最も密集した球状星団をI、最も閑散とした球状星団をXIIとする。

なお、シャプレーは散開星団の指標も考案している。
アルファベットのa〜gまでの7段階で分類する。




球状星団とHR図

HR図の興味深い使い方として、一つの球状星団を構成する星をHR図上にプロットしたものがある。
球状星団を構成する星は、すべて等距離にあるため、HR図の縦軸は絶対等級ではなく実視等級でいい。



同一の球状星団を構成する星は、同じ時期に生まれ、同じ組成を持っている。
異なるのは質量だけだ。



質量の違いは、進化のスピードの差になって現れる。
若い球状星団は、ほとんどが主系列星であるが、年を取った球状星団のHR図は、質量の大きい星は赤色巨星になってしまったため、主系列星の左半分がない。



従って、HR図上で
主系列星から外れようとしている恒星の年令がその球状星団の年令
である。





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球状星団の代表例

M13(ヘラクレス座の球状星団)

M13は、ヘラクレス座にある北天最大の球状星団である。

球状星団は、古い赤い星ばかりで構成されているのが常識だ。
ところが、M13にはスペクトル型がB2の若くて青い恒星も含まれている。
この恒星をバーナード29番[Barnard 29]という。
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M4

M4さそり座の球状星団である。
M4までの距離は7200光年と考えられてるが、これは球状星団としては非常に近い。
太陽系に最も近い球状星団ではないかと考えられている。
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M2

M2みずがめ座の球状星団である。
M2の密集度は非常に高く、シャプレーによる分類ではタイプII に属する。

小口径の望遠鏡では星雲状にしか見えないため、メシエはカタログにM2を「星雲」と記録している。
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オメガ星団

オメガ星団は、ケンタウルス座にある大型の球状星団である。


当初は星団であることが理解できず、恒星と認識されていた。
このため、バイエルはこれを4等星とし、ウラノメトリア(星図)上でω(オメガ)を与えた。




G1

球状星団は銀河を取り巻いている。
これは我々の銀河系に限ったことではない。
他の銀河の周囲にも球状星団が球状に取り囲んでいる。


G1は、アンドロメダ大星雲に所属する大型の球状星団である。
局部銀河群内の球状星団としては、最大と考えられている。
G1の中心には、ブラックホールが存在するらしい。





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球状星団のその他のウンチク

球状星団の分布と太陽系の位置

20世紀初頭、太陽系銀河系の中心に近い位置にあると思われていた。
ところが、太陽系から球状星団までの距離と天球上の位置を調べると、球状星団は偏って分布していることが判明した。



球状星団は銀河系を包み込むように分布していると仮定すると、銀河系の中心の位置が推測できる。



シャプレーは球状星団の分布の様子から、太陽系銀河系の中心から離れていると見抜き、その距離を算出したのである。




こと座RR型変光星

こと座RR型変光星は、絶対等級と変光周期に一定の関係がある変光星だ。
この性質を利用すると、観測によって変光周期が判れば絶対等級を導くことができる。
これを実視等級と比較することにより、その星までの距離を測定することが可能となる。



こと座RR型変光星は、球状星団の中で多く発見される。
このため、こと座RR型変光星は球状星団までの距離を測るための標準光源となっている。






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球状星団のFAQ

球状星団とは何ですか?

数十万個の恒星が重力で球形に集まった天体を球状星団といます。




球状星団はどこにあるのですか?

球状星団は銀河系の周囲を球状に取り囲んでいます。
円盤部にはありません。
このため地球から見ると、天の川から遠く離れています。




球状星団の数は?

銀河系の周囲では150個程度の球状星団が確認されています。
未発見のものも含めると160〜170個の球状星団が銀河系を取り囲んでいると考えられています。
M31では500個、M87では1万個の球状星団が確認されています。




球状星団の中心はどうなっているのですか?

正確には分かっていません。
しかし、大質量の球状星団の中心には、ブラックホールが存在することが確実視されています。




小口径向けの球状星団は?

ヘルクレス座球状星団M13は、北半球最大の球状星団であり、天頂付近に来るので特におすすめです。

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参考文献・サイト

理科年表オフィシャルサイト:散開星団と球状星団
HubbleSite
Globular Star Clusters
Milky Way Globular Clusters

2008/09/13
2009/02/27



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