ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

標準光源を語る。

トップページ宇宙論の目次標準光源

標準光源とは

遠方の銀河までの距離を測定するために利用される天体が標準光源だ。



天体には、見かけの明るさである実視等級と、天体の元々の明るさを示す絶対等級がある。
例えば、北極星(ポラリス)は実視等級1.97等に対し、絶対等級が-3.64と明るい。



絶対等級が明るくても、距離が遠ければ実視等級は暗くなる。
絶対等級実視等級、距離は互いに関連していることが理解できる。
3つのうち、2つが判れば、残りの1つは計算で求められるのだ。



ところが、星を見ただけで知ることができるのは実視等級だけで、絶対等級と距離は判らない。
つまり、観測からはその星までの距離がわからないことになる。
これだと、遠方の銀河までの距離が不明のままになるので、宇宙論や天文学の研究が進歩しないことになる。



もし、「宇宙のどこにあっても絶対等級が確認できる天体」があれば非常に便利だ。
その星までの距離が簡単に算出できるからである。

実視等級は見た目の明るさだから、その星を観測すれば測定できる。
絶対等級は確認できるので実視等級とあわせて距離を求めるのだ。



このような、距離の測定に都合のよい天体を標準光源という。
標準光源は、宇宙のどこにあっても絶対等級が確認できる天体なのだ。




標準光源の種類

標準光源となる天体にはいくつかの種類がある。
ここでは、標準光源となる天体を解説する。




セファイド変光星

セファイド変光星は、変光周期と絶対等級の間に一対一の関係がある変光星である。
変更周期が観測できれば、絶対等級が求まるのだ。



未知の恒星を観測したら、その恒星の明るさが時間とともに変化したとする。
明るさの変化をグラフにしたものが光度曲線だ。
光度曲線が描ければ、そのカーブの形から変光星の種類がわかる。



光度曲線からその星がセファイド変光星だと判ったら、次に光度曲線から変更周期を求めればいい。
変更周期が判れば絶対等級が判る。見た目の観測から実視等級が判る。
これにより、セファイド変光星までの距離が求まるのだ。



遠方の銀河の中で、セファイド変光星を見つければ、その銀河までの距離がわかるのである。




こと座RR型変光星

セファイド変光星の一種であるが、通常のセファイド変光星よりも暗く変光周期は短い。



変光周期と絶対等級に一対一の関係があるので、変光周期が測定できれば、距離がわかる。
球状星団の中で多く発見される。
そのため、銀河系に属する球状星団の距離の測定に利用される標準光源となっている。




Ia型超新星

Ia型超新星は、白色矮星恒星の連星系で、恒星のガスが白色矮星に降り積もり白色矮星が爆発する現象である。
白色矮星の質量が臨界に達して爆発するので、ピーク光度は常に一定となる。
このため、Ia型超新星は標準光源として、遠方の銀河の距離の測定に利用される。



ただし、狙った銀河Ia型超新星がタイミングよく出現することはまずない。
多くの銀河を常に観測し、Ia型超新星が出現したら、距離をはかるのである。




このページのTOPへ




スポンサーリンク

参考文献・サイト

Ned Wright's Cosmology Tutorial

2009/02/04



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト