ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

冥王星は、なぜ惑星でなくなったのか?

2006年8月、国際天文学連合(IAU)が「冥王星は、惑星ではない」と結論した。
総会で決議された惑星の定義に、冥王星が適合できなかったからだ。


1781年に天王星が、1846年に海王星が発見された。


天王星海王星と発見が続けば、その外側にもまだ、惑星が存在するかもしれないと多くの人が考えるのも無理はない。
このような期待を背負って、1930年にトンボーにより冥王星が発見された。


元々惑星の定義はあいまいだった。 「太陽を周回する大きめの天体が惑星」という程度の認識しかなかった。
「大きめ」としたのは、太陽を周回しても、彗星小惑星は小さいので惑星ではないからだ。


だから、冥王星が発見されたときも、これを「第9惑星」とみなしてよいかといった議論はほとんど起こらなかった。


1990年代になって、彗星小惑星、惑星とも異なる天体が、海王星以遠にゴロゴロ存在していることが分かった。
これらが、エッジワース・カイパーベルト天体(EKBO:エクボ)である。 この流れをうけて「冥王星は惑星ではなくEKBOだ」とする学説が有力視されてきた。


冥王星はEKBOであるが、発見された当時はEKBOの知識が無かったので、惑星と見なされたのだ。
もし、1930年にEKBOに関する学説が広く認識されていれば、冥王星は第9惑星ではなく、EKBO第一号として認定されていたことだろう。


冥王星はEKBOでありながら惑星として分類されているのである。
大きいEKBOが続々と発見されるにつれて、惑星の学術的な定義が不安定になっていく。


2005年7月、NASAが冥王星よりも大きなEKBO「2003 UB313」を発見し、これを「第10番惑星発見」と報じた。
冥王星が惑星ならば、それより大きいEKBOは、当然惑星だと考えたのだ。
これを機に、惑星の定義をハッキリさせようという議論が巻き起こった。


今後、研究が進めば「2003 UB313」以外にも冥王星に匹敵するサイズのEKBOが大量に発見されることだろう。
これら、すべてを惑星とするには無理がある。
だから、「2003 UB313」の発見を機に惑星の定義が議論されたのだ。


国際天文学連合(IAU)の総会では、(すったもんだの末)次の条件をすべて満たす天体を惑星とすることが決議された。
(a)太陽の周りを回る。
(b)十分に大きな質量を持ち、自分の重力でほぼ球形にまとまっている。
(c)軌道近辺に他の天体がない。


冥王星は、(a)と(b)は満たしている。
しかし(c)は満たしていない。
冥王星の軌道付近には、他のEKBOがゴロゴロしているからだ。


この総会では惑星の定義の他、準惑星というカテゴリーも新設された。 惑星の地位を失った冥王星は、このタイミングで準惑星として再分類された。

なお、冥王星転落の原因を作ったEKBO「2003 UB313」は後にエリスと命名され、冥王星と同じ準惑星の地位を得た。

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参考文献・サイト

IAU0602:
Pluto: Overview: King of the Kuiper Belt

2008/01/01
2016/03/30



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