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彗星を語る。

トップページ太陽系の目次>太陽系小天体[SSSB]>彗星

彗星とは

太陽に接近したときに、尾を生じる小型の天体を彗星という。
尾を引いた姿が箒(ほうき)に似ていることから、彗星をほうき星と呼ぶ場合がある。



「彗星の後方へ向けて尾が伸びている」と思う人がいるが、これは誤りだ。
太陽風によって押し流されるため、尾は太陽と反対の方向に伸びるのである。




彗星の特色

太陽から遠方にある彗星に尾はない。
尾を形作るガス成分が凍結しているからである。



公転によって太陽に約3AU以内に近づくと、太陽の熱でガス成分が揮発し彗星を取り巻く大気になる。
この大気をコマという。
太陽に近づくほど、彗星が受ける熱と太陽風は多くなるため、尾は長く大きくなる。



彗星の中心を核(コア)という。
核は岩石や有機物の塵を含んだ氷の塊である。「汚れた雪玉」のイメージだ。



彗星の尾は二股に分かれているように見える。
太陽と正反対の方向に伸びるガステイル(ガスの尾)と、わずかにカーブしたダストテイル(塵の尾)である。
ガステイルは、帯電した塵、金属から構成されるイオンの尾である。



揮発成分の大部分(80%以上)は水(H2O)である。
その他、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)、シアン化水素(HCN)が揮発成分を構成している。

彗星の写真が青緑色を帯びている理由は、これら成分のためである。




彗星と小惑星の関係

周期彗星は何回も太陽を公転しているうちに、ガス成分がすべて揮発してしまいコマや尾を生成しなくなる。
このため、岩石質の核だけが残ることになる。
このような核だけになった彗星は小惑星と区別がつかない。



かつての彗星がガス成分をすべて失い、今は小惑星となっている天体も多くある。



木星天王星の間に軌道を持つキロンは、1977年に小惑星として発見された。
1989年、キロンにコマが生じたことから、キロンは小惑星であると同時に周期彗星でもあることが分かった。
現在、キロンは小惑星として「2060」に、 彗星として「95P」に、それぞれ登録されている。



このようなことから、今日では、小惑星と彗星に本質的な区別が難しくなっている。
2006年の国際天文学連合の総会によって、小惑星と彗星は太陽系小天体[SSSB]に分類されることになった。




彗星の起源

海王星の外周部には、小型サイズの天体が無数に存在し、リング状の帯となって太陽系を取り囲んでいる。
このリング状の帯をカイパーベルト、またはエッジワース・カイパーベルトという。



エッジワース・カイパーベルトに属する天体が、太陽系の内側へと侵入すると短期彗星になるのである。



もともと、エッジワース・カイパーベルトは、短期彗星の起源を説明するための仮説として1950年ころに提示された。
しかし当時は、エッジワース・カイパーベルトを観測することは技術的に不可能であった。



1992年、冥王星とほぼ同じ距離(約40AU)に、160km程度のサイズの天体「1992QB1」が発見された。
太陽系の外れで小惑星が確認されたことは驚きではあったが、これ以後、小惑星サイズの天体が続々と太陽系の辺縁部で発見された。



これらの天体が太陽系の外側にリング状に分布していることから、カイパーベルトの実在が確証された。



一方で、長期彗星の起源はオールトの雲である。
彗星の元になる物質が太陽系全体を球殻状に取り囲んでいる。
これがオールトの雲である。
オールトの雲は直接確認されていない。





彗星探査機

ジオット

ジオットはESAの探査機である。
ハレー彗星の核に600kmまで接近した。画像撮影に成功するが通信が途絶する。 (1986年)
その後、機能が回復し、グリッグ・シェレルップ彗星を観測した。(1992年)




ディープ・スペース1

ディープ・スペース1は、NASAの探査機である。
2001年ボレリー彗星に接近した。
ハレー彗星を探査したジオットに続き、彗星核の撮影に成功した2番目の探査機である。




ディープ・インパクト

ディープ・インパクトは、NASAの探査機である。
テンペル第一彗星に接近し、インパクターを命中させた。(2005年7月4日)




ロゼッタ

ロゼッタは、ESAの探査機である。
2014年にチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星への到達を目指している。
その途中、小惑星(2867)シュテインスに接近した。(2008年9月5日)
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参考文献・サイト

Trans-Neptunian object
Kuiper Belt Page

2007/08/13
2008/10/12



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