カイパーベルトを語る。
海王星の外周部には、小型サイズの天体が無数に存在し、リング状の帯となって太陽系を取り囲んでいる。
このリング状の帯をカイパーベルト、またはエッジワース・カイパーベルトという。
カイパーベルトに属する天体が、カイパーベルト天体[KBO:Kuiper Belt Object]だ。
エッジワース・カイパーベルト天体[EKBO]と呼ぶ場合もある。
太陽から遠方にある彗星は、凍りついているために尾を持たない。
ところが太陽に接近すると熱で、揮発分が蒸発し尾が生じる。
周期彗星は、太陽に接近するたびに揮発分を失うため、やがては尾を生じなくなってしまうと考えられる。
太陽系が誕生してから45億年がたった。
この時間の長さから考えると、すべての短期彗星はすでに揮発分を蒸発しつくして存在しなくなっていてもいいはずだ。
ところが、なぜこれだけの短期彗星が、依然として太陽系内に健在なのだろうか?
この疑問を追及したエッジワースおよびカイパーは、太陽系の外周に彗星の巣があり、少しずつ太陽系内に彗星が供給されているためだと考えた。
短期彗星の軌道は黄道面に沿っているため、彗星の巣は太陽系の外側をリング状に取り囲んでいると予想された。
これが、エッジワース・カイパーベルトである。
このアイデアが発表された1951年には、カイパーベルトを直接確かめる手段はないため、単なる仮説の域を出ることはなかった。
このときすでに冥王星は発見されていたが、惑星と認識されていたので、冥王星がカイパーベルト天体の一つであると想像する人はいなかった。
1992年、冥王星とほぼ同じ距離(約40AU)に、160km程度のサイズの天体「1992QB1」が発見された。
太陽系の外れで小惑星が確認されたことは驚きではあったが、これ以後、小惑星サイズの天体が続々と太陽系の辺縁部で発見された。
これらの天体が太陽系の外側にリング状に分布していることから、カイパーベルトの実在が確証されのだ。
カイパーベルト天体の一部は、海王星の軌道と共鳴状態にある。
共鳴状態にあるカイパーベルト天体の一群をトゥーティノ族[Twotino]と呼ぶ。
共鳴の比率には1:2、2:3、2:5等が知られている。
特に2:3で海王星と共鳴しているカイパーベルト天体の一群を、冥王星族[plutions]と呼ぶ。
冥王星自体が2:3で共鳴しているからだ。
また、1:1で共鳴する天体群が海王星軌道上のラグランジュポイントに存在する。
これらを海王星トロヤ群と呼ぶ。
海王星トロヤ群を、カイパーベルト天体に含めない場合もある。
これに対し、共鳴していないカイパーベルト天体の一群をキュビワノ族[Cubewano]という。
最初に発見された1992QB1の「キュービーワン」から派生してキュビワノと命名されたのだ。
トゥーティノ族よりも、キュビワノ族の方が圧倒的に多数である。
カイパーベルト天体の種々の特性が判明するにつれ、冥王星はカイパーベルト天体の一つに過ぎないことが分かってきた。
2005年に冥王星を超えるサイズのカイパーベルト天体エリス[Eris]が発見された。
これを機に、惑星の定義がIAUで見直されたが、これに適合できない冥王星は惑星から除外された。
大型惑星、特に海王星の引力の影響でカイパーベルトから弾き飛ばされた天体が、カイパーベルトの外側に散在している。
この領域を散乱ディスクといい、これに含まれる天体を散乱ディスク天体と呼ぶ。
これとは反対に、カイパーベルトから内側へ弾き飛ばされた天体がケンタウルス族[centaur]である。
カイパーベルト天体、散乱ディスク天体、およびオールトの雲に含まれる天体を総称して海王星以遠天体という。
参考文献・サイト
Trans-Neptunian object
Kuiper Belt Page
2006/08/20