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惑星の定義を語る。

IAUによる惑星の定義

2006年8月、IAU[International Astronomical Union:国際天文学連合]の総会で、惑星、準惑星[dwarf planet]、太陽系小天体[Small Solar-System Bodies]の定義が決定した。(決議5A)


これらの定義は、太陽系内の天体に対しての定義であって、太陽系外惑星へは影響しない。 今後、研究が進めば太陽系外惑星も含めた、より普遍的な定義の必要性が議論されるかもしれない。


決議5A

■次の条件を満たす天体を惑星という。
(a)太陽の周りを回る。
(b)十分に大きな質量を持ち、自分の重力でほぼ球形にまとまっている。
(c)軌道近辺に他の天体がない。


■次の条件を満たす天体を準惑星[dwarf planet]という。
(a)太陽の周りを回る。
(b)十分に大きな質量を持ち、自分の重力でほぼ球形にまとまっている。
(c)軌道近辺に他の天体が存在する。
(d)衛星でない。


■太陽の周りを公転するその他の天体のうち、衛星以外を太陽系小天体[Small Solar-System Bodies]という。

[原文]
(1) A "planet"1 is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape, and (c) has cleared the neighbourhood around its orbit.

(2) A "dwarf planet" is a celestial body that (a) is in orbit around the Sun, (b) has sufficient mass for its self-gravity to overcome rigid body forces so that it assumes a hydrostatic equilibrium (nearly round) shape2 , (c) has not cleared the neighbourhood around its orbit, and (d) is not a satellite.

(3) All other objects3 except satellites orbiting the Sun shall be referred to collectively as "Small Solar-System Bodies".

1The eight "planets" are: Mercury, Venus, Earth, Mars, Jupiter, Saturn, Uranus, and Neptune. 2An IAU process will be established to assign borderline objects into either dwarf planet and other categories. 3These currently include most of the Solar System asteroids, most Trans-Neptunian Objects (TNOs), comets, and other small bodies.



太陽系の8惑星
出展:Minnesota Public Radio

この定義に基づいて、水星金星、地球、火星木星土星天王星海王星の8天体が惑星に分類された。


今まで第九惑星と認識されていた冥王星は、惑星から除外され、準惑星として分類されたのだ。
IAUは「決議6A」で冥王星についても、言及している。


決議6A
冥王星は、上記定義から準惑星に分類され、海王星以遠天体[trans-Neptunian object]の中の新しい種類の原型として認識される。

[原文]
Pluto is a "dwarf planet" by the above definition and is recognized as the prototype of a new category of trans-Neptunian objects.




惑星の認識の歴史

2005年7月、NASAが「第10番惑星」を発見したと報じた。
(NASA-Funded Scientists Discover Tenth Planet)
この天体には「2003 UB313」というコードが与えられているが、「第10番惑星」と主張してるのはNASAだけだ。
新天体を惑星として認めるかどうかは、国際天文学連合(IAU)で決定されるのである。


ところが、このNASAの発見をきかっけに惑星の定義がはっきりしないことがクローズアップされた。
定義がはっきりしないのに、「2003 UB313」が惑星であるかどうかなど議論できないからだ。


星座を形作っている星は、相互の位置も明るさも変化しない。
これらの星は恒常的に変らないという意味で「恒星」と名づけられた。
夜空の星の大部分は恒星である。


一方で、相互の位置や明るさが変化する星も古代より5つ知られている。
これらは惑う星という意味で「惑星」と名づけられている。


水星、金星、火星、木星、土星の5惑星は明るく肉眼でも十分に見ることができる。
だからこの5惑星は、誰かに発見されたのではない。
人類の歴史の初期から広く知られていたのだ。


文明の初期、天文観測は農耕と同時に始まった。
天文観測を元に暦が確立され、暦に基づいて種まきや刈り入れが運用されるからだ。
天文観測を通して、古代の人々は夜空には「恒星」と「惑星」の2種類があることを認識したのである。


天文の研究が進んでくると、各惑星は地球とともに太陽を周回していることが確認される。
地球は特別な存在ではなく、惑星の1つとして認識された。


1781年イギリスのウィリアム・ハーシェルが太陽を周回する天体を発見した。
これが天王星である。
さらに、1846年、ルベリエ、アダムス、ガレによって海王星が発見された。


天王星、海王星と発見が続けば、その外側にもまだ、惑星が存在するかもしれないと多くの人が考えるのも無理はない。 このような期待を背負って、1930年にトンボーにより冥王星が発見された。


元々惑星は、夜空で惑うように見えたことからその名がついた。
昔から知られていた惑星は、やがて太陽を周回する天体であることが判明した。
これに応じて「太陽を周回する大きめの天体が惑星」という合意が得られていったのだ。
「大きめ」としたのは、太陽を周回しても、彗星や小惑星は小さいので惑星ではないからだ。


だから、冥王星が発見されたときも、これを「第9惑星」とみなしてよいかどうかといった議論はほとんど起こらなかった。


1990年代になって、彗星や小惑星、惑星とも異なる天体が、海王星以遠にゴロゴロ存在していることが分かった。
これらが、エッジワース・カイパーベルト天体(EKBO:エクボ)である。
この流れをうけて「冥王星は惑星ではなくEKBOだ」とする学説が有力視されてきた。


冥王星はEKBOでありながら惑星として分類されているのである。
EKBOが続々と発見されるにつれて、惑星の学術的な定義があいまいになっていく。
冥王星が惑星ならば、それより大きい「2003 UB313」は、当然惑星だというのがNASAの主張なのである。


冥王星はEKBOであるが、発見された当時はEKBOの知識が無かったので、惑星と見なされたのだ。
もし、1930年にEKBOに関する学説が広く認識されていれば、冥王星は第9惑星ではなく、EKBO第一号として認定されていたことだろう。


今後、研究が進めば「2003 UB313」以外にも冥王星に匹敵するサイズのEKBOが大量に発見されることだろう。
これら、すべてを惑星とするには無理がある。
だから、「2003 UB313」の発見を機に惑星の定義が議論されたのだ。




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