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太陽系外縁天体を語る。

トップページ太陽系の目次>太陽系小天体[SSSB]>太陽系外縁天体

太陽系外縁天体とは

一昔前まで、太陽の周囲を9つの惑星が回っていて、小惑星彗星がポツポツと存在するというスタイルが、太陽系のイメージであった。



ところが、1990年代からこのイメージは大きく変化してきた。
海王星の軌道の外側に、小型サイズの天体がウジャウジャと存在することが分かったからだ。
このような天体を太陽系外縁天体という。
海王星以遠天体またはTNO [Trans-Neptunian Oject]という場合もある。

太陽系外縁天体
出展:NASA
太陽系外縁天体のイメージ



かつては、冥王星太陽系の果てと考えられていたが、太陽系外縁天体の発見により太陽系のサイズは一気に広がったのだ。




太陽系外縁天体の分類

太陽系外縁天体は、次の3つのカテゴリーに分類される。

カテゴリー分布
エッジワース・カイパーベルト天体 太陽から約30〜50AUの範囲で、リング状に太陽を周回している。
散乱ディスク天体 近日点距離:約30〜40AU
遠日点距離:約70〜数百AU
の範囲でドーナツ状に太陽を周回している。
オールトの雲の天体1万〜10万AU太陽系を球殻状に取り囲んでいる。




エッジワース・カイパーベルト天体

彗星太陽に接近すると、凍っていた成分が熱で揮発し尾を形作る。
つまり、彗星は太陽を回るうちにだんだんと、やせ細ってしまうのだ。
短期彗星は、頻繁に太陽に接近するために、比較的短い時間で揮発分をすべて失うことになる。



アポロ群アムール群小惑星の軌道は、短期彗星の軌道に非常に似通っている。
揮発分が蒸発し尽した短期彗星の成れの果てが、アポロ群、アムール群と考えられている。



太陽系45億年の歴史の長さから考えれば、短期彗星はとっくの昔になくなっていてもよさそうだ。
しかし、依然として存在することを考えると、次々と新しい短期彗星が供給されていると考えていいだろう。
エッジワースとカイパーは海王星の外側に「短期彗星の材料となる物質が、太陽系をリング状に取り囲んでいる」と考えた。



リング状の天体の分布を「エッジワース・カイパーベルト」、または「カイパーベルト」といい、これに含まれる天体を「エッジワース・カイパーベルト天体」または「カイパーベルト天体」と呼ぶ。



カイパーベルトは仮説の域を出なかったが、1992年に小サイズの天体「1992QB1」が発見されたことによってカイパーベルトの存在は確実視されるようになった。
現在では、1000個近いカイパーベルト天体が確認されている。



冥王星は、発見以来惑星と見なされていたが、実はカイパーベルト天体の発見第一号だったのである。



散乱ディスク天体

海王星の引力によって、カイパーベルトから弾き飛ばされた天体の一群が、カイパーベルトの外周に存在している。
この一帯に存在する天体を散乱ディスク天体と呼ぶ。



カイパーベルトから太陽系の内側へ弾き飛ばされた天体もある。
これら天体の一群をケンタウルス族という。




オールトの雲

太陽系外縁天体の研究は、長期彗星の起源の仮説に由来する。
短期彗星はみな黄道面に沿った軌道を回っているのに、長期彗星は黄道面とは無関係に天空のあらゆる方向から太陽に接近する。
一方で、長期彗星の遠日点距離はどれも10万AU程度である。



このことに気付いたオールトは、「長期彗星の材料となる物質が、太陽系を球殻状に取り囲んでいる」という仮説を発表した。
これが「オールトの雲」だ。



オールトの雲に属する天体は、まだ発見されてはいない。




冥王星型天体

太陽系外縁天体のうち、準惑星に属する天体を冥王星型天体という。




海王星との共鳴

太陽系外縁天体の中には、海王星と軌道が共鳴しているものがある。
このうち、2:3で共鳴しているものを冥王星族、共鳴していないものをキュビワノ族という。
なお、冥王星族と冥王星型天体とは、別ものである。


共鳴名称
あり1:2トゥーティノ族2002WC19
2:3冥王星族冥王星、オルクス
3:41995DA2
3:52001YH140
なしキュビワノ族1992QB1

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参考文献・サイト

Trans-Neptunian object
Kuiper Belt Page

2009/04/26



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