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藤井旭の天文年鑑―スターウォッチング完全ガイド〈2011年版〉
藤井 旭
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彗星探査機ロゼッタを語る。

彗星探査機ロゼッタとは

ロゼッタ[Rosetta]とはESA[欧州宇宙機関]が運営する彗星探査機である。
目標とするチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星[67P/Churyumov-Gerasimenko]には、2014年に到達し、以後2年間をかけてこの彗星に併走しながら観測を続けることになる。



ロゼッタには、フィラエ[Philae]と命名された着陸機が搭載されている。
彗星に到達したロゼッタは、フィラエを切り離し、彗星の核に着陸させる着陸機をランダー、ロゼッタ本体をオービターとも呼ぶ。




彗星探査機ロゼッタの道のり

ロゼッタは2004年2月に打ち上げられた。
つまり、目標到達まで10年を要することになる。
これは、地球や火星を利用したフライバイを4回実施するからである。
ロゼッタは一直線に彗星を目指すのではなく、地球や火星を経由しながら10年をかけてやっと目標に行き着くのだ。



オービター、ランダー、燃料を合わせたロゼッタの総質量は3000kgを超える。
ESAはこれほどの質量の探査機を8億キロメートル先の宇宙まで送り込む能力を持つロケットを持っていないのだ。
そこでスイングバイという航法を利用するのである。



スイングバイは惑星探査機が一般に使用する航法の名称である。
探査機が惑星近くを通過するときその惑星から重力の作用を受けて、コースが曲がる。
そしてこの惑星の重力圏から離脱するときに、受けた重力の作用の分だけ加速されるのだ。
打ち上げ時の推進力が弱くても、スイングバイを利用すればスピードを上げて目標天体を目指すことができるのである。



ロゼッタが実施するスイングバイは合計4回に及ぶ。

1回目2005年3月地球
2回目2007年2月火星
3回目2007年11月地球
4回目2009年11月地球


ロゼッタは地球とスイングバイに繰り返し接近して加速し、彗星に向かうのだ。



ロゼッタは途中、シュテインスとルテティアの二つの小惑星に接近する。
このとき、小惑星の詳細な画像が送られてくるはずである。



2011年5月から2014年1月までの2年半程度の間ロゼッタは、彗星との遭遇に備えて冬眠状態(ESAのサイトではDeep-space hibernationと表現されている)に入る。
「深宇宙でひっそりと待ち伏せする」というイメージだ。



彗星の中心部を核という。
核は岩と氷からできており一般に「汚れた雪だるま」と表現される。



彗星は尾を持った天体というイメージが強いが、実際の彗星はいつも尾を持っているのではない。
太陽に近づいたときだけ、熱で核の表面が溶け、蒸発したガスによって尾が形成される。
太陽から遠く離れているときの彗星は核だけなのだ。



ロゼッタは、太陽に向かう途中のチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星と深宇宙で遭遇する。
この時点でこの彗星には、尾はまだ生えていない。
10か月ほどの予備調査の後、ランダーが核に着陸し、成分分析等を実施する。
ロゼッタは併走しながら、太陽に接近するにつれ、彗星の核に何が起こるのかを逐一観測するのである。



彗星は太陽系誕生以来そのままの姿で今日まで生きてきたと考えられている。
その彗星の成分を直接分析することは、太陽系の起源の謎を解明する大きな手がかりとなるだろう。



古代エジプト文字「ヒエログリフ」は長い間解読されなかったが、ロゼッタストーンと呼ばれる石碑の発見が解明の糸口になり、後のエジプト考古学の発展に大きく寄与することになった。
太陽系の起源を解明するこのミッションの名称が、ロゼッタストーンにあやかっていることは、説明するまでもないだろう。




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