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天文年鑑〈2011年版〉
天文年鑑編集委員会
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藤井旭の天文年鑑―スターウォッチング完全ガイド〈2011年版〉
藤井 旭
4416210183

フライバイ航法(swing-by)

フライバイとは天体(特に惑星)の直ぐ近くを通り抜けることを言う。
フライバイの目的には大きく二つある。


一つ目は、近くを通りながらその天体を詳しく観測することである。
探査機が惑星を訪れるのは、その惑星を間近で見たいからなのだ。
初期の惑星探査はフライバイが主流であった。
着陸する技術がなかったからだ。


二つ目は探査機を加速するためである。
目標とする天体に速く到達するためには、探査機の航行速度はできるだけ速い方がよい。
物体のスピードを上げる(加速する)には、力を与えなくてはならない。


力を与えれば、その分だけ物体は加速する。
これをニュートンの第二法則という。
宇宙空間を飛ぶ探査機は、ジェットによって力を得て加速する。
ところが探査機に積載できる燃料には限界があるため、いくらでも加速することはできない。
ある程度加速したらジェットを止め、そのまま慣性(一定の速度)で飛び続けることになる。


なお、ジェットを停止したら探査機はだんだんと減速し、やがてストップすると考えている人が時々いる。これは誤りだ。
宇宙空間は空気抵抗や摩擦など邪魔するものがないので、探査機はそのままの速度で一直線に飛んでいく。
これが慣性の法則である。ニュートンの第一法則とも呼ばれている。


燃料を用いず探査機を加速する都合のよい方法として、フライバイが考案された。
フライバイを利用すれば、惑星のすぐ近くを通り抜けるだけで、探査機がスピードアップするのだ。
スピードアップを目的としたフライバイをスイングバイと呼ぶ場合もある。


探査機が惑星の間近を通過する際、重力の影響でその惑星に引き寄せられる。
一直線に飛んでいた探査機が惑星の方向へカーブするのだ。


惑星に接近する角度や速度、惑星表面からの高度を微調整すれば、その惑星に落下することなく重力圏を離脱できる。
このとき、惑星へ落ちそうになる勢いだけをもらい、その分だけ探査機を加速することができるのだ。


例えば、ボイジャーがいい例だろう。
ボイジャーは木星、土星、天王星、海王星を順次訪れた探査機である。
各惑星に接近するたびに、ボイジャーはフライバイによって順次加速し次の目標へと向かった。
もしフライバイを使用しなかったならば、全探査を終えるのに何十年も要したことだろう。



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