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相対性理論のQ&A

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空間が歪んでいる証拠は?

一般相対性理論の正しさは日食の観測で証明されましたが、同時期に水星の近日点移動も見事に説明できたため、一般相対性理論の信頼がより強固なものになりました。 すべての惑星は完全な円軌道ではなく楕円軌道を公転しているため、軌道を一周する間に太陽と惑星の距離は刻々と変化します。太陽に最も接近した場所を近日点、反対に最も遠ざかった場所を遠日点といいます。



どの惑星の近日点も安定しているのですが、水星の近日点だけが安定せず、年月とともに少しずつ移動していることが長年の観測によって分っていました。 その量は100年で5600秒の移動に相当します。(「秒」は角度の単位で、1度の3600分の1) そのうちの5557秒は従来のニュートン力学で説明可能なのですが、残りの43秒を説明することができず、原因がまったく分からないまま、長年の謎とされてきたのです。



19世紀の一時期、残りの43秒は水星のさらに内側を公転する未知の惑星の影響であると強く信じられていました。未発見にも関わらず、この惑星にはバルカンという名前まで与えられ、多くの学者、研究者がバルカン発見を目指しましたが結局、徒労に終わります。そのほかにも、43秒を説明するための仮説が多く提示されましたが、どれもうまくいきませんでした。



ここで登場したのがアインシュタインです。アインシュタインは一般相対性理論を適用することで、この問題に見事に決着をつけました。



太陽の巨大な重力によって太陽の周囲の空間が曲がります。水星は曲がった空間の中を進むうちに、近日点が移動してしまうのです。一般相対性理論から導かれる計算値が、原因不明だった43秒とピタリ一致したのでした。



19世紀の人たちは相対性理論など知りませんから、バルカン探しに明け暮れたのも仕方がないことかもしれません。

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参考文献・サイト

佐藤勝彦/監修「最新宇宙論」学研,2009
「ニュートン別冊 相対性理論」ニュートンプレス,1991
真貝寿明/著「タイムマシンと時空の科学」ナツメ社,2011
佐藤勝彦/著「相対性理論を楽しむ本」PHP文庫,2011

2012/08/02



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