ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

アポロ15号を語る。

アポロ15号とは

アポロ15号は、従来よりも科学調査に力点を置いたミッションとして、初めて月面車が利用された。



司令船はエンデバー、月着陸船はファルコンと呼ばれる。
18世紀の探検家キャプテン・クックが科学調査の航海で乗った船がエンデバー号だった。
アポロ15号は本格的な科学探査を目的にしているので、キャプテン・クックにあやかり司令船をエンデバーと命名したのである。



月着陸船の名称はファルコンだ。
これはクルーの3名が全員海軍出身であることから、海軍の公式シンボルであるファルコンから命名した。ファルコンとは隼(ハヤブサ)のことである。



従来の着陸地点は「月の海」が選ばれてたが、アポロ15号は「月の海」以外の地点を目指す初のミッションとして、幅1.4キロメートル、深さ350メートルのハドリー谷に着陸した。



船外活動は計3回行われ、通算18時間34分に及んだ。



月の地平線は近いので、1キロメートル離れたら月着陸船は見えなくなってしまう。
このような状況でも、迷わず着陸船に戻れなくてはならない。
月には磁場がないので方位磁針は役に立たない。そこで太陽の位置から現在地を知る道具が考案された。
これが太陽コンパスだ。



採集された斜長石のサンプルは、ジェネシス・ロック(創世記の石)と呼ばれている。
これはの原始の地殻を構成していた石でおよそ41億年も昔のものだった。



月面での滞在は3日間に及ぶので、月着陸船内で睡眠をとる。
このとき、宇宙服からこぼれた月の砂が着陸船内に散らばった。
意外なことに月の砂は火薬のようなにおいを持っていることが分かった。



ミッション中は水が漏れるというトラブルも起きた。



月面車は時速11〜13キロメートルで走行する。
重力が小さいうえ、月面は平坦でないので、常に車輪の1つか、二つが宙に浮いてしまったままの状態で走ることになる。
車輪はゴムタイヤではない。金網を編み上げたようなメッシュ構造だ。
太陽の方向によっては光がまぶしすぎ、地形が良く分からないので運転は難しい。



地層標本の採集には相当に手こずった。
元々ドリルで深さ3メートルの穴を掘る予定だったが、堅い地盤に当たってドリルが進ます、結局3日かかって地層標本を抜き取った。



公式のスケジュールにはないが、船長のスコットはガリレオの落体の法則を証明するパフォーマンスを演じた。隼(ハヤブサ)の羽とハンマーを同時に手放し、両方が同時に月面に落下する様子を見せたのだ。
本来なら、重いものも軽いものも同じスピードで落ちていく。
ところが羽などの軽いものは空気の抵抗を受けるので、ゆっくり落ちるので地球上で落体の法則はなかなか実感できない。
月には空気がないので、羽も金属製のハンマーも同時に落下したのである。



船長の遊び心から行われたこの実験は「ガリレオの仮説が正しいことが証明された」というコメントで締めくくられた。



月軌道から離れるとき、小型の衛星を放ち月の周回軌道に乗せた。これが宇宙で発射された最初の衛星である。



このミッションではクルーのうちの2名の心電図に異常が現れた。これはカリウムの不足であることが分かったので、後のミッションではカリウムを強化した飲料を用意することになった。
宇宙服にも改良が加えられ、アポロ15号からより高性能なタイプになった。
地球帰還時、パラシュートの一つが開かなかったが、残りのパラシュートで減速し無事に着水した。

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参考文献・サイト

デイヴィッド・スコット(著), アレクセイ・レオーノフ(著), 奥沢駿(訳) ,鈴木律子(訳) 『アポロとソユーズ』ソニー・マガジンズ,2005
Apollo 15 Mission
Apollo 15
Apollo 15
JSC

2011/01/16



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