ボストーク湖を語る。
南極の氷層下4000メートルの深さには、巨大な湖が眠っている。
総面積は1万4000平方メートル。
米国のオンタリオ湖に匹敵する巨大な湖なのだ。
その名をボストーク湖という。
航空機からレーダーで氷層下を調べたところ、4000メートルの深さで、水平な反射面を発見したのである。
かつて南極は温暖だった。
この南極が寒冷化するときに、ボストーク湖は氷で密封されたのである。
約50万年から100万年の前の話らしい。
ボストーク湖の平均水温はマイナス3度と予測されている。
これは生物が生存できる温度でもある。
もしかしたら、氷に封印される前にいた生物が、この閉鎖された環境のなかで独自に進化し、今も生き続けているかもしれない。
ボーリングを行えば、湖面に達することもできる。
しかし、ボストーク湖の湖水を直接回収するような調査方法は、行われていない。
地上の微生物によって、ボストーク湖の内部が汚染されることを恐れてのことだ。
湖がマイナス3度なのに凍らないのは、4000メートルの氷層がボストーク湖を押す圧力は巨大だからである。
このため、ボーリングによって湖面に到達した瞬間、湖水が「よく振ったコーラ」のように噴出する可能性もある。
100万年前の封印は安易に解いてはならないのだ。
ボストーク湖は、火星やエウロパ(木星の衛星)で生命を探そうとしている研究者からも注目されている。
ボストーク湖のような極限環境に住む生命の生態解明は、地球外の生命探査にとって貴重なヒントとなるからだ。
ボストーク湖にいるであろう生命は、地上界が100万年前からすっかり様変わりし、生物にとって住みにくい世界になってしまったことを、まだ知らずにいる。
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参考文献・サイト
2007/10/07