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実視等級と絶対等級を語る。

天体の明るさは等級によって分類される。
一等星、二等星といった呼び方がそれだ。
等級には星の見た目の明るさで示す実視等級と、その星の本当の明るさを示す絶対等級がある。



実視等級

等級による星の分類は、古代ギリシアに始まる。
全天で特に明るい20個の恒星を一等星、条件の良い日にやっと肉眼で確認できる恒星を六等星と決めたのだ。
その他の星は、明るさに応じて二等星〜五等星に割り当てられた。


このような等級の分類方法は、「だいたい、これくらいの明るさだろう」といった人間の感覚に依存している。
近代になり天文学の研究が進むと、人間の感覚に頼ることなく星の等級を科学的に決める必要が生じてきた。


ここでいう「等級」とは、人間が感じ取る光の度合いであって物理的な尺度ではない。
物理的に測定できるのは「光の強さ」である。
「光の強さ」と「等級」との間の関係を示した式がポグソンの法則だ。


ポグソン(Pogson)の法則によると、光の強さが約2.5倍になると、人間は1等級の違いとして認識することが分かった。


ポグソンの法則が導入されたことにより、等級の概念は大きく変わった。
3.25等、4.85等のように等級の精密な定義が可能になったのだ。


さらに「2.5倍ごとに1等級」というスケールを用いれば、光の強さが1等星の2.5倍であれば0等星、さらに2.5倍であればマイナス1等星と定義することができる。
6等星よりも暗い星も同様だ。
2.5倍暗くなるごとに、7等星、8等星とすればいいのだ。


次に必要になるのは、等級の基準をどうするかだ。
水が氷になる温度を0℃と決めたように、等級にも基準となる光の強度を決めなくてはならない。
かつては、ベガ(おとめ座のα)を0.0等星として、等級の基準としていた時期もあった。




絶対等級

光源が観測者に近いほど明るく見える。遠ければ暗く見える。
だから、明るい星は皆、地球から近いと思う人もいるがそうではない。


バーナード星は、わずか6光年しか離れていないのに、10等星であるため肉眼ではまったく見えない。
一方で、北極星はバーナード星の約72倍(430光年)も遠いのに、2等星の明るさで見ることができる。


北極星はもともと、明るい星なのだ。
だから遠くにあっても、肉眼で十分に見ることができる。
一方で、バーナード星は近くにありながら、肉眼で見えないのはもともと暗い星だからだ。


この二つの星に限らず、もともとの明るさは、恒星ごとに異なっている。
遠い星も近い星も、もともとの明るさを考えずに実視等級だけで比較したら不公平だ。
このため、恒星を研究するためには実視等級とは別に、星のもともとの明るさを定義する必要がある。これが絶対等級だ。


絶対等級は、「仮に32.6光年の距離に星を持ってきたときに何等星に見えるか」によって決めている。
どの星も平等に等距離(32.6光年)にあるとして、明るさを比較しょうという発想なのである。
太陽は直接目視できないほどの明るさであるが、絶対等級は4.8等星でしかない。


なお、「32.6光年」という値が中途半端な値に思えるが、これは10パーセクという距離である。

名称距離実視等級絶対等級
北極星430光年1.97等星-3.64等星
バーナード星5.96光年9.57等星13.26等星
太陽1億5000万km-26.7等星4.8等星


32.6光年の距離にある天体は、実視等級と絶対等級は同一の値になる。




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