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天文年鑑〈2011年版〉
天文年鑑編集委員会
4416210175



藤井旭の天文年鑑―スターウォッチング完全ガイド〈2011年版〉
藤井 旭
4416210183

初心者のための天体望遠鏡入門

天体望遠鏡の原理を知ろう

天体望遠鏡の仕組み

天体望遠鏡は、はるか遠方にある天体をアップして見る望遠鏡です。
天体望遠鏡は次の3つのパートから構成されています。



光学系の違い

天体望遠鏡の光学系は、次のステップで天体の拡大像を作ります。
1:天体からの光を焦点に収束させる
2:焦点を、レンズで拡大する



天体からの光を焦点に収束させるには、
凸レンズを使って光を屈折させる方法と、
凹面鏡を使って光を反射させる方法
があります。

屈折させて光を集める天体望遠鏡を屈折式望遠鏡、反射させて光を集める天体望遠鏡を反射式望遠鏡といいます。



暗くて肉眼では見えないような星でも天体望遠鏡を使えば、明るく見ることができます。
これは、天体望遠鏡が人間の眼よりも多くの光を集めることができるからです。



天体望遠鏡の基本形は屈折式望遠鏡であり、初心者向きの入門機はほとんどが屈折式望遠鏡です。
[..さらに詳しく見る..]




屈折式望遠鏡

屈折式望遠鏡は、天体の方向に向ける対物レンズと、眼でのぞきこむ接眼レンズから構成されています。



レンズには光を集めたり、像を拡大する特徴があります。
天体望遠鏡は、はるか遠方の暗い天体を、二つのレンズの組み合わせることで明るい像に拡大します。



ルーペのレンズの中央は外側に膨らんでいます。
このような中央部が厚いレンズを凸レンズといいます。



凸レンズには二つの機能があります。

機能できること
拡大する細かい字を大きく拡大して読むことができる
光を焦点に集める太陽光を一点に集中させ、紙などを燃やすことができる

最もシンプルな天体望遠鏡は、2つの凸レンズで作られています。
天体に向けるレンズを対物レンズ、目でのぞく側のレンズを接眼レンズといいます。
これら二つのレンズの役割は異なっています。



まず対物レンズが、天体から来た光を一点に集中させます。
接眼レンズは、ルーペとして働き、対物レンズが作った焦点を拡大します。



凸レンズで太陽光を一点に集中させて、紙を燃やすとき、凸レンズの直径が大きいほど容易に燃やすことができます。

Vixen 天体望遠鏡 ミニポルタ A70Lf 39941

屈折望遠鏡の例


これは、レンズの直径が大きいほど(レンズの面積が広いほど)より多くの太陽光を集めることができるからです。



同様に、天体望遠鏡の対物レンズも、直径が大きいほど、より多くの光を集めることができます。

つまり、より暗い星まで見ることができるのです。
[..さらに詳しく見る..]




反射式望遠鏡

屈折望遠鏡では、対物レンズ(凸レンズ)が天体から来た光を一点に集中させました。
しかし、光を一点に集中させる方法は凸レンズだけではありません。
凹面鏡を使っても光を一点に集中させることができます。

対物レンズの代わりに凹面鏡で光を集める天体望遠鏡を反射式望遠鏡といいます。


屈折望遠鏡の場合と同様に、接眼レンズがルーペとして働き、凹面鏡が作った焦点を拡大します。
[..さらに詳しく見る..]




接眼レンズ

対物レンズ(対物鏡)と接眼レンズの組み合わせを天体望遠鏡の光学系といいます。
対物レンズ(対物鏡)と接眼レンズは互に独立してはいますが、非常に密接に関連しています。



初期のガリレイ式望遠鏡やケプラー式望遠鏡の接眼レンズは、単一のレンズでした。
現代では、より高性能を目指して、二つ以上のレンズを組み合わせた接眼レンズが主流になっています。

接眼レンズの中で、対物レンズ(対物鏡)に近い側を視野レンズ、目に近い側をアイレンズと呼んでいます。



天体望遠鏡の接眼レンズは小さな筒状の部品に組み込まれています。
この筒状の部品をアイピースといい、簡単に交換できる構造になっています。



アイピースを見ると、「Or5mm」「K25mm」のような文字が見つかります。
これは、接眼レンズの光学形式(種類)と焦点距離を意味します。
[..さらに詳しく見る..]




対物レンズの種類を知ろう

凸レンズの端部はプリズムと形が似ています。
このため、凸レンズの端部を通過した光は色ごとに分かれてしまい、各色で異なった焦点を結びます。
つまり、焦点は一点にならないのです。



色ごとに焦点が異なると、すべての色で同時にピントを合わせることができません。
赤にピントを合わせれば、赤以外の色がピンボケになり、青に合わせれば、青以外の色がピンボケになってしまいます。



このような対物レンズで作られた像を見ると、周囲に赤や青の色がにじみ出た像になります。
ピントからずれた色が、焦点像の周囲にはみ出したからです。



このような現象を色収差といいます。
色収差を補正するためのレンズがアクロマートレンズ、またはアポクロマートレンズです。




アクロマート

アクロマートは、二つのレンズを組み合わせることによって、色ごとに異なった焦点位置を一致させ色収差を軽減するレンズです。



すべての色の焦点位置を完全に一致させることはできません。
そこで、特に目立つ赤と青の焦点位置を一致させるたのがアクロマートです。



アクロマートは、クラウンガラスの凸レンズとフリントガラスの凹レンズを組み合わせて色収差を補正します。



[..さらに詳しく見る..]




アポクロマート

アポクロマートは3枚のレンズを組み合わせて青、赤、緑の焦点を一致させるレンズです。




架台の違いを理解しよう

天体望遠鏡の鏡筒は重いので手で支えたまま観測することはできません。



実際の天体望遠鏡の鏡筒に載せて使用する。
この台を架台といい、架台を操作して、鏡筒を目標へ向けて観測します。



架台には、経緯台と赤道儀の二種類があります。



経緯台は鏡筒を、水平方向・垂直方向へ動かして目標へ向ける架台です。
砲台をイメージすれば理解しやすいでしょう。



これに対し、赤道儀は地球の自転軸と平行な軸(極軸)、および極軸と垂直な軸(赤緯軸)から構成されます。
望遠鏡のカタログを見ると、傾いた軸を持つ架台が見つかります。
これが赤道儀だ。
傾いた軸を極軸といいいます。




天体望遠鏡の情報を集めよう

天文雑誌で調べる

天文雑誌には、天体望遠鏡の広告やテスト記事が載っています。
メーカー間でスペックを比較しましょう。

天体望遠鏡の写真が載っていたら架台をよく見てください。
見るからに貧弱で弱々しい架台は、星が安定して見えないので選択から外します。
天文雑誌には、天文ガイド、星ナビがあります。




メーカーのサイトで調べる

メーカーのサイトでも情報を集めることができます。
メーカーのサイトのリンク集を参考にしてください。




カタログを集めよう

家電量販店や大手文具店にいくと、天体望遠鏡を売っています。
カタログが置いてあるので、集めましょう。

天体望遠鏡のカタログの見方は、カタログを見てみようを参考にしてください。




カタログを見てみよう

「この天体望遠鏡は何倍ですか?」と聞く人がいます。
天体望遠鏡の性能は倍率で決まると思っているからでしょう。
ところが、この質問は正しい質問とは言えません。
望遠鏡にとっては、倍率よりも、対物レンズ(または対物鏡)の直径の方が重要だからです。



倍率は接眼レンズ(アイピース)を交換することによって変えられます。




口径

対物レンズ(または対物鏡)の直径を口径といいます。
一般に口径が大きいほうが、性能が優れます。



口径が大きいということは、レンズが大きいということです。
レンズが大きいと、こんなメリットがあります。

 → より暗い星まで観測できる。(極限等級)
 → より細かい部分まで観測できる。(分解能)
 → より拡大できる。(倍率)





極限等級

レンズが大きければ、それだけより多くの光を集めることができます。
つまり、より暗い星まで見ることができるのです。



町明かりのない、きれいな星空では、肉眼で6等星まで見えます。
空には、6等星よりも暗い星がたくさんあります。
ただ、肉眼で見えないだけなのです。



たとえば、口径6センチの望遠鏡でみれば、11等星まで見ることができます。
望遠鏡で見ることのできる最も暗い星を、極限等級といいます。
口径が大きいほど、極限等級は暗くなります。





分解能

レンズが大きければ、それだけより細か部分まで見ることができます。
つまり、より詳しく観測できるのです。
どこまで細かく見えるかを「分解能」といいます。



分解能はちょっと理解しにくい言葉です。
月面のクレーターを例にして説明しましょう。



月面は、たくさんのクレーターで覆われています。
大きいクレーターもあれば、小さいクレーターもあります。
口径6センチの天体望遠鏡で見ると、直径10キロのクレーターまで観測できますが、それより小さいクレーターは見えません。
もっと大きい、口径10センチの天体望遠鏡で見れば、直径8キロのクレーターまで観測できます。



肉眼では一つの星に見えても、天体望遠鏡で見ると二つに分かれて見える星があります。このような星を二重星といいます。
二つの星が接近しあっているので、肉眼では一つの星に見えてしまいます。
しかし、天体望遠鏡は肉眼以上に分解能が高いので、二つの星に分解することができるのです。



分解能は角度で表します。
1度よりも小さい角度を次のように表します。

 ・ 1度の60分の1を「1分」といい「1'」と書く
 ・ 1分の60分の1を「1秒」といい「1"」と書く



「秒」や「分」が出てきますが、時間の単位ではありません。間違えないようにしましょう。


分解能が高いということは、より小さい角度まで分離してみることができます。





倍率

拡大の度合いを倍率といいます。
倍率は接眼レンズ(アイピース)を交換することによって変えることができます。



対物レンズの焦点距離を、接眼レンズの焦点距離で割った値が、倍率です。
焦点距離が1000ミリの対物レンズに、10ミリの接眼レンズを組み合わせると100倍になります。



焦点距離の短い接眼レンズを用いれば、いくらでも高い倍率がだせそうですが、それはできません。
分解能を超えて拡大すると像がぼやけます。
分解能よりも細かい部分は拡大できないからです。



口径の2倍程度が出せる倍率の限界です。
口径60ミリの望遠鏡であれば、120倍程度が限界です。



焦点距離f

レンズ中心から焦点までの長さを焦点距離といいます。
一般に焦点距離は「f」で表します。



天体望遠鏡の鏡筒を見て、「f=800」と書かれていたら、その天体望遠鏡の焦点距離は800mm(80cm)ということです。



対物レンズの焦点距離を、接眼レンズの焦点距離で割った値が、天体望遠鏡の倍率です。
焦点距離:800mmの天体望遠鏡に、焦点距離:20mmの接眼レンズを使用すると、40倍(800mm÷20mm=40)になります。



より高い倍率を出すためには、より焦点距離の長い対物レンズが必要です。
しかし、対物レンズの焦点距離が長くなると、像が暗くなります。
また、低倍率が得にくくなるので、目標の天体を視野内に導入しにくくなります。



口径比F(F値)

焦点距離が長いと像が暗くなります。
像の明るさの度合いを示す値が口径比です。口径比はFで表します。
焦点距離fを口径Dで割った値が、口径比Fです。F値ともいいます。


口径:100mm(10cm)、焦点距離:800mmの対物レンズの場合、口径比は、F=8(800mm÷100mm=8)になります。


口径が同じでも、F値が異なれば、望遠鏡の特性も変わってきます。


F値大きい小さい
焦点距離長い短い
高倍率得やすい得にくい
低倍率得にくい得やすい
像の明るさ暗い明るい
周辺部の収差目立たない目立つ
視野の広さ狭い広い



繰り返しになりますが、分解能を超えた倍率では像がぼやけます。
分解能よりも細かい部分は拡大できないからです。



口径の2倍程度が出せる倍率の限界です。
口径60ミリの望遠鏡であれば、120倍程度が限界です。




天体望遠鏡の使い方

天体望遠鏡を買ったら、いよいよ観測です。
でも、その前にやっておくことがあります。




ファインダーの調整

天体望遠鏡の視野は狭いので、目標の天体に向けるのは一苦労です。
そこで、ファインダーを使って目標の天体を導入します。
ファインダーの中心にズバリ目標の天体がくれば、天体望遠鏡の視野の中央にその天体がきていなくてはなりません。

そのためには、あらかじめファインダーと鏡筒の光軸を並行にしておく必要があるのです。




光軸調整

反射望遠鏡の場合は、光軸調整が必要です。
主鏡の裏にあるスクリューを回転し、斜鏡と接眼筒との位置を合わせます。




観測前の準備

天体望遠鏡は、早めに外気に触れさせ気温になじませておきましょう。
特に反射望遠鏡の場合、筒内の空気と外気が気温差によって入れ替わります。
これを筒内気流といい、この状態で観測すると像が乱れます。

これを避けるために、反射望遠鏡は早めに外気に慣らしましょう。




天体望遠鏡のFAQ

初心者向けの天体望遠鏡はどこで売っていますか?

比較的目につくのは、家電量販店や大手の文具店です。
天文ガイドの広告を見ると、望遠鏡の専門店もあるのが分かります。
メーカーのWEB販売もあります。




初心者に人気のある天体望遠鏡メーカーはどこですか?

ビクセンが人気があります。
国内の天体望遠鏡シェアは第一位です。




初めて天体望遠鏡を買うとき、気を付けるポイントは?

倍率に惑わされないことです。
弱々しい架台の望遠鏡を買うと、星像が安定せずよく見えません。
重すぎると、観測するのが億劫になってしまいます。




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