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藤井 旭
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年周視差を語る。

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年周視差とは

半年を隔てて撮影した2枚の星空の写真を重ねても、星の配列は完全に一致しているように見える。
しかし、極めて精密に調査してみると、恒星の位置がわずかにズレているのが分かる。



肉眼で見る限り、恒星の位置はズレているようには見えない。
ごくわずかな恒星の位置の違いを年周視差という。




年周視差のしくみ

視差とは

走っている電車から景色を見ていると、遠方の風景はなかなか動かないが、手前の建物などはすぐに過ぎ去っていく。

移動しながら見ると、近いものは遠方の風景を背景として手前を動くのだ。

この現象を視差という。
視差とは、見る位置によって見える角度が異なることなのだ。



ひとさし指を顔の前に立てて、片目を閉じる。

閉じる目を左右交互に変えると、ひとさし指の位置と背景が変化する。
これも、見る位置によって、ひとさし指の見える角度が異なるので視差である。




地球の公転による視差

地球1年かけて太陽を公転する。
公転の半径は1億5000万キロメートルだ。
従って、地球の位置は半年を隔てて3億キロメートル離れることになる。



地球から星を観測すると、公転軌道上の違う位置から見ていることになる。
このため、恒星の位置に視差が生じる。



3億キロメートルを隔てて星を見るので、遠くの恒星を背景として、近くの恒星が手前を動くように見えるのだ。



このように、地球の公転に伴って見える視差が年周視差だ。
太陽系に近い恒星ほど、年周視差は大きい
つまり、位置のズレる度合いが大きいのだ。



地球の自転軸は黄道面(公転軌道面)に対し、約23.5度傾斜している。
地球はこの約23.5度の傾斜角を維持したまま太陽の周囲の公転しているのである。

半年隔てて星Aの位置を観測すると、自転軸から見た星Aの角度が変化する。
(左の図の角度bと角度c)
これが視差である。




この様子を地球から見ると、1年を周期として星の見える位置(自転軸との角)が刻々と変化しているように見える。
視差が1年周期で変化するので年周視差なのだ。
(このアニメは大げさに作成している。実際には肉眼で識別できない)



年周視差はわずかなので肉眼では検出できない。
最も近い恒星系(ケンタウルス座α星)でさえ、0.76秒である。
この場合の「秒」は角度の単位で、3600分の1度を示す。



年周視差は地球が公転していることの証拠である。




年周視差と天体までの距離

ある天体の年周視差が分かると、三角測量の原理でその天体までの距離が測定可能になる。




年周視差発見の歴史

コペルニクスが地動説を提唱し、ガリレオが木星の4大衛星を発見すると、天文学界は地動説か、天動説かの論争が起こった。

当時、世界最高の観測精度を誇ったチコ・ブラーヘは、年周視差が確認できなかったことから天動説を主張した。



1728年に年周光行差が発見されると、これが地動説の証拠であると確信された。



地動説が正しいのなら、年周視差が観測されるはずである。
年周視差の検出を目指す競争が起こり、1838年にベッセルがこれに成功した。

ベッセルは、はくちょう座61番星をターゲットに選んでいた。
はくちょう座61番星は、固有運動が大きいため太陽系に比較的近いと考えられていたからである。



続いて、ベガケンタウルス座α星の年周視差が測定された。



1989年8月に、高精度視差観測衛星ヒッパルコスがESAによって打ち上げられた。
4年間のミッションを通じて、11万8274個の恒星の年周視差が測定され、ヒッパルコス星表として発表された。







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