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HR図 / ヘルツスプルング-ラッセル図を語る。

HR図とは

恒星の個性は様々だ。
いろいろな温度の恒星があり、明るさ(絶対等級)もマチマチである。
そこで、温度(星の色:スペクトル型)と絶対等級の関係を調べるためにHR図が考案された。



HR図は、スペクトル型絶対等級との関連を図示したチャートなのである。
HRとは、ヘルツスプルング[Hertzsprung]とラッセル[Russell]の略で、この図を考案した人物名に由来する。



HR図は縦軸に絶対等級、横軸に温度(またはスペクトル型)をとる。



ヘルツスプルングとラッセルは、共同してこのHR図を考案したのではない。
両者は独立して(互いに似たような研究をしているとも知らずに)、このHR図を発表したのである。

当然、発表時はHR図とは呼ばなかった。
後日、似たような研究をしていたことが分かってから、両者の名をまとめてHR図と呼ばれるようになったのだ。




HR図の特色

恒星の色と明るさの関係は?

星には様々な色がある。
星の色の違いは、その星の表面の温度の違いである。



赤い星は温度が低く3000K(絶対温度で3000度)程度しかない。
これに対し高温なのが青い星だ。
その表面は50000Kにも達する。



恒星は色(スペクトル型)によっていくつかにグループ分けすることができる。
これが、スペクトルによるハーバード分類法だ。
たとえば、太陽はG2V型に分類される。



HR図は恒星は色(スペクトル型)と明るさの関係を調べたグラフだ。
恒星の色は見かけで判定してもかまわないが、星の明るさを見かけだけで比較することは、非常で不公平である。



近い星は距離で得してより明るく見えるし、どんなに明るい星であってもはるか遠方であれば、その光は地球に到達するまでに弱まってしまう。



そこで、星の明るさを公平に比較するために、「仮に同じ距離(32.6光年)においたら、何等星に見えますか?」という尺度が必要になる。
この尺度で見た星の明るさを絶対等級という。
絶対等級も星ごとにマチマチだ。




HR図を作成する

HR図では縦軸を絶対等級、横軸を表面温度として、多数の星をプロットする。
絶対等級を使うので、遠い恒星が不利になることはない。
通常のグラフでは、原点から右へ向かうに従い横軸の値は増加する。



HR図では、原点から右へ行くほど温度が低下するように横軸を設定しているので注意を要する。
HR図の左上は「明るくて高温の星」が、右下は「暗くて低温の星」がプロットされるエリアとなる。



シリウスのスペクトルはA1型、絶対等級は1.45等なのでHR図上では以下のようになる。



この要領で、シリウス以外のたくさんの星をHR図上にプロットしていく。
星は、温度も絶対等級も様々なので、下図のようにHR図上の全面に星が散らばりそうだが、実際はそうはならない。



実際には、大部分の星が、下図のように特定の場所に集まるのである。
@の部分に集まった星を主系列星
Aの部分の星を赤色巨星
Bの部分の星を白色矮星という。



一方で、HR図上には星がまったくプロットされない場所もある。
星がプロットされない場所は「温度と絶対等級のあり得ない組み合わせの場所」なのだ。



このことから、温度と絶対等級は「ものすごく関係がある」と言うことができる。



大多数の星は、HR図上の左上から右下へ向かう斜めの線上に集中する。
ここにプロットされる星が主系列星である。
このプロットから、主系列星は「明るければ熱い」という関係が読み取れる。



HR図には、主系列星以外にも、星が集まるエリアがある。
「明るくて低温の星」である赤色巨星は右上(Aの位置)に、「暗くて高温の星」である白色矮星は左下(Bの位置)に、プロットされる。




恒星の進化とHR図

星の一生は長い。一つの星の誕生から終末までを追跡して観測することはできない。
一方で、宇宙には様々な年代の恒星が同時に存在する。
我々は、多くの星を観測し個々を重ね合わせることによって、星の生涯を理論的に描くことができるのだ。



HR図を描くと、大多数の恒星が主系列星であることが理解できる。
星は、その生涯の大部分を主系列星として過ごすのだ。
星は自重で縮まろうとするが、内部の核融合反応とほどよくバランスする。
このため、主系列星は非常に安定しており、直径も明るさもほとんど変化しないのだ。



終末が近づくと、星は内部が不安定になり膨張する。
星から出る光の量は一定なのに、膨張によって表面積が増加するので、温度は下がる。
温度が低ければ、放たれる光は赤くなる。
これが、赤色巨星だ。



赤色巨星は、温度は低いが、大きいので明るく見える。
だから、HR図では、赤色巨星は常に右上に来るのだ。



燃料を使い果たし、内部の核融合反応が停止すると、星は自重で収縮する。
このとき、外層のガスが宇宙空間に散逸してしまうので、自重で密度の高くなった中心部のみが現れる。
これが白色矮星だ。



白色矮星は核融合反応がすでに終わっているので、内部で熱は発生しない。
余熱のみで輝いているのだ。



ところが、星自体のサイズが小さくなったので、余熱でも有効に使うことができる。
温度は高いのに、表面積が狭いので、星としては非常に暗い。
だから、HR図では、赤色巨星は常に左下に来るのである。



余熱を失えば、光を放つこともなくなり、やがて宇宙の闇に消えていく。



このようにHR図から、星の一生(恒星の進化)を理論的に知ることができるのである。




球状星団とHR図

HR図の興味深い使い方として、一つの球状星団を構成する星をHR図上にプロットしたものがある。
球状星団を構成する星は、すべて等距離にあるため、HR図の縦軸は絶対等級ではなく実視等級でいい。



同一の球状星団を構成する星は、同じ時期に生まれ、同じ組成を持っている。
異なるのは質量だけだ。



質量の違いは、進化のスピードの差になって現れる。
若い球状星団は、ほとんどが主系列星であるが、年を取った球状星団のHR図は、質量の大きい星は赤色巨星になってしまったため、主系列星の左半分がない。



従って、HR図上で主系列星から外れようとしている恒星の年令がその球状星団の年令である。





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