潮汐作用を語る。
月は常に同じ面を地球に向けている。
これは、月の公転周期と自転周期が一致しているからだ。
このような現象は潮汐作用によって説明される。
4つのガリレオ衛星もすべて木星に同じ面を向けている。
木星の強い潮汐作用によって、公転周期と自転周期が一致してしまったのだ。
円軌道を公転する天体には、引力と遠心力が同時に作用する。
両者の方向は正反対であるが、大きさは同じだ。
つまり、引力と遠心力はお互いに打ち消しあい、合計はゼロとなる。
ところが、天体の大きさを考えると、この話は厳密ではない。
月の表側は地球に近いため、裏側に比較して引力を強く受ける。
一方で、月の裏側は地球軌道のより外側を回るため、表側に比較して遠心力が強くなる。
このため、引力と遠心力の合計はゼロとならない。
月の表側は引力が強く地球方向へ盛り上がり、裏側では遠心力が勝るから地球から遠ざかる方向へ引かれるのだ。
これを潮汐作用と呼ぶ。
このため、月は球体から楕円体(ラグビーボールの形)へとわずかではあるが変形する。
表側の盛り上がりは、地球に近いので引力で強く引かれる。
この作用が、楕円体の長軸を常に地球の方を向かせようとするのだ。
これによって、自転周期が調整されて公転周期に一致してしまうのである。
地球も月から潮汐作用を受ける。
静止した地球の周りを月が公転しているイメージがあるが、これは誤りだ。
地球は、月と地球の共通の重心の周りを共に公転しているのだ。
当然、地球には月からの引力と、重心を回る遠心力がかかってくる。
月からの引力のため、月に近い側に海水が集まり海面が盛り上がる。
その反対側へも遠心力によって海水が流入する。
これが、潮の満ち干きのメカニズムである。
元々、潮汐とは「潮の満ち干き」の意味なのだ。
潮汐作用は海水だけでなく、地殻にも影響する。
地球も月に向かってわずかに楕円体に変形するが、自転が速すぎて長軸は月の方向からはずれてしまう。
月の引力は長軸を月の方向へ向けようと作用する。
これが、地球の自転速度にブレーキをかけている。
ジャイアントインパクトで月が誕生した当初、地球の一日は4時間程度であった。
現在、1日が24時間に延びたのは、このブレーキの影響である。
一方で、月の軌道半径も1年に3cmずつ広がっている。
月は年々遠くなっているのだ。
月の引力が地球の長軸に働くときに、月の公転を加速させようと作用する。
回転が勢いづくので軌道半径が広がるのである。