スノーボールアースを語る。
スノーボールアースとは
先カンブリア代の末期(6億〜8億年前)、地球全体が氷床に覆われた時期があった。
この状態をスノーボールアースという。
スノーボールアースは、氷河期とは異なる。
氷河期は氷河のエリアが増えるだけであって、赤道部は凍っていない。
これに対し、スノーボールアースは、地球の全域がコチコチに凍結した状態になったのだ。
スノーボールアースは、氷河期とはスケールも発生メカニズムも違うのである。
スノーボールアースの状態は数千万年間続いたらしい。
この間、地球は約3000mの氷床によって覆われていた。
スノーボールアースはそれ以前の生物を大量に絶滅させた。
しかし、スノーボールアースの終了によって環境が激変し、多細胞生物であるエディアカラ動物群が出現した。
スノーボールアースは、生物の進化に密接に関わっていると考えられている。
スノーボールアースのメカニズム
スノーボールアースへの移行
プレートテクトニクスによって、約10億年前にロディニア大陸が赤道付近に誕生した。
陸地は海よりも熱を反射する。
ロディニア大陸は、広大であったため赤道付近の太陽熱を反射させて地球を寒冷化しやすい環境を作ったのだ。
有機物が分解すると二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが発生する。
この時代にはすでに、微生物はいた。
そのため、微生物の死体が分解するために、二酸化炭素やメタンが発生し大気中に放出した。
ロディニア大陸が誕生すると侵食が増え、大量の土砂が海へ流入した。
これが微生物の死体を埋めてしまったため、大気中への二酸化炭素やメタンの供給が激減した。
これが微生物の死骸を埋没したため、死骸分解に伴う二酸化炭素など温室効果ガスの発生が抑制された。
さらに、ロディニア大陸が侵食されることによって、岩石中のカルシウム、マグネシウムが金属イオンとなって海水中へと供給される。
海中の二酸化炭素は、金属イオンと結合して炭酸塩鉱物を生成する。
つまり、陸地の侵食によって空気中の二酸化炭素が減少するのである。
二酸化炭素が減ると温室効果がなくなる。
このため、地球は急激に冷えることになる。
地球が冷えることによって、極地に発生した氷床は、徐々に広がっていく。
氷床は太陽光を反射するので、氷床が広がることによって寒冷化が加速し、さらに氷床が発達する。
こうして、海洋まで凍結するスノーボールアースとなったのだ。
スノーボールアースからの復帰
一度、全地球が凍結すると太陽光の反射量が多くなるので、スノーボールアースから復帰するのは難しい。
スノーボールアースの間も、地質活動が細々と続いており、火山から二酸化炭素が大気中に供給されつづけた。
二酸化炭素の量が一定量に達すると、再び温室効果によって氷床が溶解した。
氷床が減ると太陽熱の吸収が良くなるので、地球はスノーボールアースを脱して、再び温暖になったのだ。
一方、二酸化炭素の増加は、光合成を活発にした。
このため、一気に大気中の酸素が増加した。
これにより、生物の中から酸素を利用してタンパク質を合成する種が進化によって誕生した。
これが、エディアカラ生物群の誕生の契機になったのだ。
スノーボールアースの証拠
縞状鉄鉱床
鉄イオンが酸素と結合し酸化鉄となり、大量に堆積したものが縞状鉄鉱床だ。
この縞状鉄鉱床が、先カンブリア代末期(6億〜8億年前)の地層から発見されている。
縞状鉄鉱床の存在は、その時代に酸素が急増したことを示しているのだ。
氷河堆積物
先カンブリア代末期(6億〜8億年前)の地層から、氷河堆積物が発見されている。
その中には、この時代、赤道付近にあった地域も含まれている。
このことは、全地球規模で氷床が発達していたことを物語っている。
キャップカーボネイト
この時代の氷河堆積物の上層には炭酸塩鉱物が堆積している場合が多い。
炭酸塩鉱物は、二酸化炭素と金属イオンが結合して生成されたものだ。
このことは氷河が消滅すると同時に二酸化炭素が増加したことを示している。
参考文献・サイト
川上 紳一「全地球凍結」集英社新書,2003
ScienceDaily
The Snowball Earth by Paul F. Hoffman and Daniel P. Schrag
BBC:Snowball Earth
Imaginova:Snowball Fight Erupts over Frozen Earth Theory
2008/02/27
2008/08/16