デリンジャー現象を語る。
デリンジャー現象とは
電離層の異常が原因で通信障害が発生する現象をデリンジャー現象という。
そもそも電離層とは何?
電離層とは高空にある電気を帯びた空気の層のことだ。
電離層の構造
高空では、太陽の影響をモロに受けるので空気分子が電離しているのである。
電離層は、単一の層ではなく地上に近い側からD層、E層、F1層、F2層の4つの層でできている。
電離層は電波を反射するので、上手に使うと電波を遠方にまで伝えることができる。
短波放送が地球の反対側まで届くのは、電離層のおかげである。
デリンジャー現象
電離層は電波通信に影響を与えるので、常に安定しているのが望ましい。
ところが時として太陽表面の爆発現象によって電離層が乱されてしまうのである。
太陽表面で起こる爆発現象をフレア(または太陽フレア)という。
フレアの様子
フレアが電離層を乱しデリンジャー現象が発生する。
出展:NASASolar Physics
フレアが発生すると、エックス線、ガンマ線、紫外線等の放射線や、プラズマの粒子は大量に放出される。
太陽フレアによって放たれた放射線(ガンマ線、紫外線等)が電離層に作用し、デリンジャー現象が起こる場合が多い。
デリンジャー現象の性質
電離層と電波
熱圏内の気体分子(窒素や酸素)子は、太陽からの放射線や宇宙線を受けて電離する。
このため、熱圏には電子密度の高い状態の領域が層状に存在することになる。
これが電離層である。
放射線の種類によって、通過する大気の厚みや、電離できる分子・原子は異なる。
このため、性質の異なる3つの電離層が作られる。
最も下層の電離層がD層、中央がE層、上層がF層である。
短波は、低層のD層を楽々と通過するが、高層のF層では反射される。
このため、短波による通信は放送は長距離に届く。
デリンジャー現象の原理
ところがデリンジャー現象が発生すると、D層の電子密度が増加するため、短波は、D層を通過できず反射してしまう。
このため、短波による長距離通信が不可能になってしまうのだ。
太陽は、年がら年中、フレアを起こしているのではない。
フレアが活発な時期と、そうでない時期が11年の周期で交互に訪れる。
これを太陽活動サイクルという。
太陽は11年の周期で、活発な時期と穏やかな時期を繰り返すのだ。
従って、デリンジャー現象も太陽活動サイクルの影響をモロに受け、11年のサイクルで活発な時期が繰り返されることになる。
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参考文献・サイト
電磁波計測研究センター/電波伝搬障害研究プロジェクト
NOAA / Space Weather Prediction Center
Space Weather Monitors- Stanford SOLAR Center
2008/08/19
2009/12/26