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天文年鑑〈2011年版〉
天文年鑑編集委員会
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藤井旭の天文年鑑―スターウォッチング完全ガイド〈2011年版〉
藤井 旭
4416210183

月面の氷を語る。

トップページ太陽系の目次月面の氷

は大気を持たない。
このため、昼間の温度は120度まで上昇する。
このような環境では、水や氷はたちまち蒸発し宇宙空間へと逃げていく。
に水や氷が存在する余地はないのだ。



ところが、ないはずの氷が、どうやら月面にあることがわかった。



ルナプロスペクタ
ルナプロスペクター
出展:Lunar Prospector

ルナプロスペクターの探査によると、の極地域で大量の水素の存在が示唆された。

水素が放出した強力な中性子が、ルナプロスペクターの中性子分光計で検出されたのだ。
水素は水分子の形態で月面に存在するらしい。



高温にさらされるで、なぜ氷が存在できるのか?
そのヒントは、日陰にある。

月面は真空にさらされているため、昼と夜の温度差、日なたと日陰の温度差が激しい。
日なたで120度まで上昇する一方で、日陰はマイナスである。
温度差の激しい月面であっても、永久に日陰になっている場所は、永久にマイナスなのである。



そのような都合のいい場所が極地にある。

極地では、太陽光線がほぼ水平に照射する。
このため、深いクレーターの底部には、まったく日光が当たらない部分がある。
氷は、この部分にあるのだ。



の南極近くにある南極エイトケン盆地は広大なクレーターである。
直径は2500km、深さは12kmほどあり、現在確認されている限りでは太陽系最大のクレーターなのだ。
南極エイトケン盆地の中には、後からできた小型のクレーターが無数にある。

これらの小型クレーターのうちのいくつかには、まったく日があたらないのだ。


クレメンタインは、Sバンドの電波を放射し、ディープスペースネットワークの70mアンテナで受信した。
岩石と氷では、Sバンドの反射のパターンが異なるのだ。
反射のパターンを解析することによって、氷の有無を判定できる。


このクレメンタインの調査によっても氷の存在を示唆する結果が得られた。


一方で、アレシボ天文台から電波を送って調査したところ、明らかに氷のない日なたから、氷の反射波と同じパターンが得られている。
Sバンドによる調査は再現しないのだ。


月の南極
月の南極
中央が日陰になっている
出展:Ice on the Moon

電波や中性子ばかりでなく、直接氷を撮影すればいいじゃないかという発想もある。
ところが、氷のある場所は、日陰なので写真に写らないのだ。


左の写真はクレメンタインが撮影した、南極の写真(複数の画像のモンタージュ)である。
極が日陰になっていることは分かるが、ここに何があるのかが分からないのだ。



最後にルナプロスペクター自体を月面の衝突させたところ、氷は検出されなかった。
氷の存在は状況証拠ばかりで、決定的な確証はなかなか得られなかった。



日本の「かぐや」が、氷の存在が予想されていたシャックルトンクレータを観測した。
2008年10月、このクレーター内の表面に氷が存在する可能性がないことが明らかになった。



2008年11月になると、エルクロスがカベウスクレーターに衝突し、約350トンの噴煙が高度10qまで巻き上がった。



その噴煙を解析した結果、噴煙の中に約95リットルの水が検出されたのである。
この周囲の地中には、相当量の水が氷として存在することが確認されたのである。




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2009/11/16

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