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オルバースのパラドックスを語る。

トップページ宇宙論の目次オルバースのパラドックス

オルバースとは何者なのか?

ハインリヒ・オルバースは、19世紀に活躍したドイツの天文学者である。
小惑星パラス、およびベスタや、周期彗星を発見した。
月面のクレーター「オルバース」にも、その名を残している。



1823年にオルバースは、次のような奇妙な見解を発表した。
「本来、夜空は明るく輝くはずだ。実際の夜空が暗いのは矛盾である」



このような考えをオルバースのパラドックスという。




オルバースのパラドックスとは

昼間は太陽が出ているから明るい。
夜は、太陽が出ていないので暗い。
これは多くの人にとって常識だ。



当然、古くからこのような常識が信じられてきた。
現代でもこのように信じる人が多い。



この常識に対して疑問を投げかけた人物がハインリヒ・オルバースである。



オルバースはこう考えた。
「宇宙が均一で無限に広ければ、無数の星によって空が埋め尽くされる。このため本当だったら夜空は明るく輝くはずだ」



遠くの灯かりほど、暗く見える。
同じ理由で遠い星ほど暗くなる。
遠くの星は光が弱くて見えないはずだ。



一方で、無限の星が均一に分布していれば、地球から遠く離れるほどたくさんの星があることになる。
遠いほど星の数が多くなるのだから、地球から見たとき、星と星の間には、無限にたくさんの星が重なって見えることになるはずだ。
遠くの星は暗いが、数が圧倒的に多いため暗さに打ち勝って空全体が明るくなるはずである。



これは、夜景をイメージすると分かりやすい。
夜景は一点一点の電灯の集まりである。
個々の電灯は、遠いほど暗い。



一個の電灯を遠くから眺めても暗すぎて見えない。
しかし、街全体に電灯が分布していれば、個々の電灯は暗くても、遠くから見たときまぶしい夜景になるのである。



もし、街が無限に広ければ、電灯と電灯の間にさらに遠方の電灯が隙間無く埋め尽くされるため、一面の明かりになる。



このことから、
「無数の星によって空が埋め尽くされて、夜空は明るく輝く」
というオリバースの発想は誤っていないことになる。



しかし、実際の夜空は暗い。
これは不思議なことであり、まったく説明がつかない。



「本当だったら明るいはずの夜空が、実際には暗い」ということをオルバースのパラドックスという。




オルバースのパラドックスの解釈

このオルバースのパラドックスを解くカギは、「宇宙の大きさ」にある。
オルバースは、論の前提として「宇宙が均一で無限に広い」とした。
これが誤りなのである。



宇宙のサイズには限りがあり、地球から見える範囲に無限の星はない。
だから、夜空は暗いのだ。



オルバースのパラドックスは、「宇宙が無限でない」ことの証拠でもある。



以前、「宇宙には限りがなく、無限の過去から継続している」と思われていた。
だがこれは、ビッグバン理論の登場によって覆された。
宇宙には始まりもあり、サイズも限られているのである。



宇宙は最初、一点であった。
これが急膨張して宇宙が始まった。
宇宙は今も膨張を続けている。



膨張によって、宇宙はだんだんとスカスカになっていく。
銀河銀河の隙間が広がっているのだ。
これを一つの銀河から見ると、近くの銀河はゆっくりと、遠くの銀河は猛スピードで遠ざかるように見える。



はるか遠くの銀河の後退スピードは光速に近いので、そこから出た光はもう地球へは届かない。
このような限界を「事象の地平線」という。
事象の地平線の外側にある光は永久に地球に到達しない。



オルバースのパラドックスの前提は「宇宙が均一で無限に広く星の数も無限」であった。
実際には、事象の地平線の内側が、現実的な宇宙のサイズであり、その中の星の数は有限である。



このため、空は星に埋め尽くされることはなく、夜空は暗いのである。
夜空が暗い理由は、太陽が見えないからではない。
宇宙のサイズも星の数も有限だからなのである。



夜空を見たら、宇宙が今も膨張しつつあることを実感したいものである。




オルバースのパラドックスの余談

オルバースのパラドックスを最初に言い出したのは、オルバースではない。
それ以前に、ヨハネス・ケプラーやエドモンド・ハレーが、同様の疑問を呈している。







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