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ウォルフ黒点相対数を語る。

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ウォルフ黒点相対数とは

太陽の血圧:黒点相対数

人間には体調のいい時期と悪い時期がある。
このような健康の度合いは血圧や体温の変化となって現れる。



太陽にも活発な時期と不活発な時期が交互に現れる。
活発な時期の太陽には太陽黒点の数や黒点群の数が多くなる。
反対に不活発な時期太陽には太陽黒点や黒点群の数が少なくなる。



黒点数が多いほど、黒点群の数が多い時ほど、太陽ではフレアCMEといった現象も頻発する。



ウォルフ黒点相対数とは、太陽黒点の数、および黒点群の数を元に算出された太陽活動の度合いを示す数値である。
ウォルフ黒点相対数が大きい時期は、太陽が活発な時期なのだ。



過去250年間のウォルフ黒点相対数のグラフを見ると、太陽活動が見事な周期性を持っていることが確認できる。



ウォルフ黒点相対数の変化
太陽活動の周期
出展:NASA:Wikimedia Commons



ウォルフ黒点相対数は、まさに太陽の体調を見る血圧計なのである。

なお、ウォルフ黒点相対数を、単に黒点相対数と言う場合もある。




ウォルフ黒点相対数のウンチク

ウォルフ黒点相対数の歴史

太陽黒点が周的に増減することに最初に気付いた人物は、ハインリッヒ・シュワベ[Heinrich Schwabe](1789-1875)であった。



当時の天文学界では、水星の内側にもさらに未知の惑星が存在すると確信され、新惑星発見を目指す探索レースが加熱していた。
この未知の惑星をバルカンという。
ハインリッヒ・シュワベもバルカン探しに気合いを入れた人物の一人であった。



バルカンは内惑星であるので、太陽面を通過する機会があるはずだ。
ハインリッヒ・シュワベは、バルカンの太陽面通過のタイミングをキャッチしようと考えた。
そのため、ハインリッヒ・シュワベは、1826年から〜1843年までの17年間に渡り太陽の表面の記録を続けた。



ハインリッヒ・シュワベは、この活動を通じて、太陽黒点が約10年で増減することを発見したのである。



この事実(バルカンではなく、太陽黒点のこと)にいち早く関心を示した人物がいた。
ハインリッヒ・シュワベの研究に関心を持ったスイスの天文学者ヨハン・ルドルフ・ウォルフが、1610年代に遡って、黒点観測のデータを収集し、シュワベが約10年とした太陽活動周期を11.1年と補正した。



さらに、ウォルフはこの研究の過程で、太陽黒点の数量を指数として表現する方法を編み出した。
この指数がウォルフ黒点相対数である。




ウォルフ黒点相対数の特性

ウォルフ黒点相対数は通常Rで表現される。



黒点はポツポツと孤立して発生するものもあるが、多くは複数個が集まって群を形成する。
黒点の数が多いほど、または群の数が多いほど太陽は活発だと考えていいだろう。



黒点の数をs、群の数をgとしたとき、ウォルフ黒点相対数Rは、
R=k(10g+s)
で定義される。
kは観測条件を補正するための係数である。



黒点の数や群の数は、目視で数える。
使用する器材(特に口径)や、観測者の熟練度によっても、太陽黒点の数や群の数は異なってくる。
それを補正するのがkなのだ。



太陽の反対側にある黒点は見ることができない。
当然カウントできないので、ウォルフ黒点相対数は「見えている側」だけで計算されるのだ。



ウォルフ黒点相対数では、黒点の数よりも、群の数を重要視している。
黒点の数よりも群の数の方が、より太陽の活発さを反映しているからだ。
だから、ウォルフ黒点相対数では群の数は10倍されているのだ。

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参考文献・サイト

Solar Physics

2008/09/16



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