ウォルフ黒点相対数を語る。
ウォルフ黒点相対数とは、太陽黒点の数、および黒点群の数を元に算出された太陽活動の度合いを示す数値である。
過去250年間のウォルフ黒点相対数のグラフを見ると、太陽活動が見事な周期性を持っていることが確認できる。

太陽活動の周期
出展:NASA:Wikimedia Commons
太陽黒点が周的に増減することに最初に気付いた人物は、ハインリッヒ・シュワベ[Heinrich Schwabe](1789-1875)であった。
当時の天文学界では、水星の内側にもさらに未知の惑星が存在すると確信され、新惑星発見を目指す探索レースが加熱していた。
この未知の惑星をバルカンという。
ハインリッヒ・シュワベもバルカン探しに気合を入れた人物の一人であった。
バルカンは内惑星であるので、太陽面を通過する機会があるはずだ。
ハインリッヒ・シュワベは、バルカンの太陽面通過のタイミングをキャッチしようと考えた。
そのため、ハインリッヒ・シュワベは、1826年から〜1843年までの17年間に渡り太陽の表面の記録を続けた。
ハインリッヒ・シュワベは、バルカン探索の徒労と引き換えに、太陽黒点の数が約10年の周期で増減することを発見したのだ。
今日では、太陽活動周期は約11年であることが知られている。
ハインリッヒ・シュワベの研究(バルカンではなく、太陽黒点のこと)にいち早く関心を示した人物がいた。
スイスの天文学者、ヨハン・ルドルフ・ウォルフ[Johann Rudolf Wolf](1816-1893)である。
ウォルフは1610年代に遡って、黒点観測のデータを収集し、シュワベが約10年とした太陽活動周期を11.1年と補正した。
さらに、ウォルフはこの研究の過程で、太陽黒点の数量を指数として表現する方法を編み出した。
この指数がウォルフ黒点相対数である。
ウォルフ黒点相対数は通常Rで表現される。
黒点はポツポツと孤立して発生するものもあるが、多くは複数個が集まって群を形成する。
黒点の数が多いほど、または群の数が多いほど太陽は活発だと考えていいだろう。
黒点の数をs、群の数をgとしたとき、ウォルフ黒点相対数Rは、
R=k(10g+s)
で定義される。
kは観測条件を補正するための係数である。
黒点の数や群の数は、目視で数える。
使用する器材(特に口径)や、観測者の熟練度によっても、黒点の数や群の数は異なってくる。
それを補正するのがkなのだ。
太陽の反対側にある黒点は見ることができない。
当然カウントできないので、ウォルフ黒点相対数は「見えている側」だけで計算されるのだ。
ウォルフ黒点相対数では、黒点の数よりも、群の数を重要視している。
黒点の数よりも群の数の方が、より太陽の活発さを反映しているからだ。
だから、ウォルフ黒点相対数では群の数は10倍されているのだ。