ホーキング織野の

サラリーマン、宇宙る。

メッセンジャーのサブシステムを語る。

トップページ宇宙開発の目次水星探査機メッセンジャーサブシステム

メッセンジャーのサブシステム

NASAの水星探査機メッセンジャーの機体は、次のサブシステムから構成される。

サブシステム機能
ペイロード観測機器を搭載するスペース
通信システム地球局と交信するためのアンテナ類
サンシェード太陽光線を避けるためのシールド
電源システム発電するための太陽電池パネルと蓄電用のバッテリー
推進システム軌道修正・姿勢制御用のジェットエンジン



ペイロード

観測機器を搭載するスペースをペーロード[payload]という。
[..さらに詳しく見る..]

通信システム

メッセンジャーは適時地球と交信可能でなければならない。
このため、メッセンジャーには交信用のアンテナが次の3種類用意されている。

地球局とメッセンジャーで交信される内容は3つある。
コマンド、ステータス、データである。


コマンドとは地球局からメッセンジャーに向けた「命令」である。
軌道や姿勢を制御するため推進システムを動作させるなど、メッセンジャーに何かさせるときに地球からコマンドを送る。


ステータスとは、メッセンジャーから地球への「報告」である。
指定された撮影が完了した、指定された時間だけジェットを噴射した、異常が発生した等、機体の状況を報告する。


メッセンジャーは搭載した観測機器によって水星を探査する。
各観測機器が取得した「観測結果」がデータだ。
データは電波によって地球へと送られる。


地球からメッセンジャーへの通信をアップリンクという。
アップリンクには、コマンドが含まれる。


一方、メッセンジャーから地球への通信がダウンリンクである。
ダウンリンクにはステータスとデータが含まれる。


フェーズドアンテアはダウンリンクに使用する。
中ゲインアンテアと低ゲインアンテナは、ダウンリンクとアップリンクに使用される。


撮影した画像や観測データなど、メッセンジャーが地球へ送るデータは膨大だ。
そのためには、探査機に大きなアンテナを搭載したくなる。
ところが、アンテナが大きいと打ち上げロケットに格納できないので、アンテナを折りたたみ式にせざるを得ない。


NASAは、折りたたみ式のアンテナで痛い思いをした経験がある。
木星を探査したガリレオ計画では、探査機に搭載した折りたたみ式のアンテナが展開しなかったのだ。


他のアンテナを利用する必要にせまられたガリレオのミッションチームは、データを送信のために、新たにデータ圧縮のアルゴリズムを開発し、航行中の探査機のアプリケーションをアップロードしたのである。


メッセンジャーでは、折りたたみ式のアンテナを避け、小型で高性能なフェーズドアンテナを搭載することになったのである。


地球局のアンテナには、ディープ・スペース・ネットワーク(DSN)が利用される。
DSNのパラボラアンテナは、カリフォルニア、オーストラリア、スペインに設置されている。
これらの緯度は互いに120度離れているので、地球の自転によらず、かならず何れかのアンテナがメッセンジャーと交信可能な位置にいることになるのだ。



サンシェード

太陽光線付近の太陽光線は強烈だ。
観測機器に直射日光にさらされると、加熱によって正常な動作が保障されない。
サンシェードは、直射日光を遮るために装備されたシールドである。


メッセンジャーのサンシェードは、マリナー10号で使用されたものと同様にセラミックス製である。
しかし、マリナー10号のサンシェードよりも厚い構造となっている。
ミッションの期間が長いからだ。



電源システム

メッセンジャーの電子系統の電源は、太陽電池パネルだ。
火星以遠に向かう探査機の太陽電池パネルは、乏しい太陽光からいかに効率的に電力を得るかで工夫が必要である。
一方で、メッセンジャーは水星を探査するため、太陽エネルギーに不足はない。
むしろ、いかに太陽熱による温度上昇を避けるかがポイントになる。


水星では、太陽光が強烈なため、太陽電池パネルは限界以上に加熱されてしまう。
しかし、加熱を避けるためにサンシェードで太陽電池パネルを覆うわけにはいかない。
太陽電池パネルは太陽を受けて発電するからだ。


この問題は仮に、太陽電池パネルの面積を小さくしても(小型にしても)解決しない。
単位面積が受ける熱は、太陽電池パネル全体のサイズに無関係だからである。


メッセンジャーの太陽電池パネルは、放熱の仕組みを取り入れている。
太陽電池パネルは全面積のうちの3分2にミラーを敷き熱が蓄積しないような構造になっている。


太陽電池パネルで生成した電力は、ニッケル水素バッテリーに蓄積され、メッセンジャーの各サブシステムに供給される。


推進システム

打ち上げ後から、ミッション終了までの期間で、適時の軌道修正・姿勢制御が必要になる。
メッセンジャーの軌道修正・姿勢制御は、1基のメインエンジンと、16基のスラスターによって、コントロールされる。
電気推進は使用されていない。
[..さらに詳しく見る..]

このページのTOPへ




スポンサーリンク

参考文献・サイト

NASA MESSENGER

2008/01/31
2010/01/11
2015/05/21



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト



スポンサーリンク

Amazon.co.jpアソシエイト