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藤井旭の天文年鑑―スターウォッチング完全ガイド〈2011年版〉
藤井 旭
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HII領域を語る。

トップページ銀河系の目次恒星の進化HII領域

HII領域とは

化学の分野では、電気的に中性の原子をH、電離した水素原子(イオン)をH+と表記する。
一方、天文学の分野では、電気的に中性の原子をHI(エイチワン)、電離した水素原子(イオン)をHII(エイチツー)と表記する。
HII(エイチツー)とは水素イオンのことなのだ。



宇宙の中で、水素イオンが高濃度に分布している空間を、HII(エイチツー)領域という。
HII領域のサイズは1光年程度から数百光年まで様々だ。



HII領域の特色

HII領域が発光するメカニズム

恒星暗黒星雲の中で誕生する。
新たに生まれた恒星が放つ紫外線によって、周囲の暗黒星雲内の水素原子が刺激され電離する。
電離された水素原子は再結合するときに光輝く。
これHII領域だ。



電離された水素(HII)は再結合に伴って、波長656.3ナノメートルの輝線(Hα線)を放つ。
このため、HII領域の色は赤い



HII領域は、O型星B型星の付近で顕著に発生する。

OB星の放射は強い。
この放射のため、周囲にある水素ガスを数100光年に渡って電離するのである。
HII領域の濃度は薄いが、温度は1万度にも達する。



恒星の周囲のガスや塵は、放射の圧力によって押しのけられていく。
押しのけられたガスは、密度が高くなって重力により収縮し、恒星となっていく。
このようにHII領域の中では、恒星がドミノ式に誕生していくのだ。



だからと言って、HII領域は永久に恒星を産み続けることはできない。
誕生した恒星の輻射圧によって、HII領域を構成するガスが四散してしまうからだ。
このような例がM45(プレアデス星団)だ。



M45はうっすらとガスに覆われている。
もともとは濃いガスであったが、星団を構成する星からの輻射圧によって周囲のガスが吹き飛ばされつつあるのだ。




HII領域の分布

銀河には様々なタイプがある。
渦巻銀河楕円銀河不規則銀河などがそれだ。
不思議なのは、楕円銀河の内部にはHII領域が存在しないということだ。



一方で、渦巻銀河不規則銀河はHII領域を含んでいる。
特に渦巻銀河では、HII領域は渦巻きの腕の部分に沿って分布しているのである。



HII領域の代表がM42(オリオン大星雲)である。
ハッブル宇宙望遠鏡の観測によると、円盤状の塵に取り囲まれた星が、M42の内部に多数存在することが確認されている。
これらは惑星系が形成されつつある段階の恒星であると見なされている。

HII領域
M42
出展:NASA:Hubble Site




HII領域と散光星雲

HII領域と散光星雲は、まったく同じと思われるが厳密には違う。
散光星雲の光り方には、2種類ある。



電離して輝くものを輝線星雲、電離せずに恒星の光を反射して光るものを反射星雲という。
反射星雲輝線星雲を合わせて散光星雲というのだ。
したがって、HII領域には反射星雲を含まないことになる。

散光星雲のうち、輝線星雲がHII領域なのである。



なお、超新星残骸散光星雲に含める場合もある。
この場合も、超新星残骸はHII領域ではない。




HII領域の例

タランチュラ星雲

大マゼラン雲の中にあるHII領域である。



NGC604

NGC604はM33の中にあるHII領域である。
実サイズは1500光年もある。
これは、M42(オリオン座の大星雲)の実に40倍である。




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