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系外惑星探査機ケプラーを語る。

系外惑星探査機ケプラーとは

系外惑星探査機ケプラー(ケプラー宇宙望遠鏡)は、NASAが宇宙に設置する望遠鏡である。

系外惑星探査機ケプラー
系外惑星探査機ケプラー
出展:Kepler Site



10万個以上の恒星を観測して、多くの太陽系外惑星のデータを集める。



2009年3月5日にケープ・カナベラル空軍基地からデルタ-II(7295)ロケットで打ち上げられた。
3年半に渡って運用される予定だ。



星震学変光星の研究への寄与も期待されている。








系外惑星探査機ケプラーは次のミッションを帯びている。




太陽系外惑星とは

惑星を持った恒星太陽だけではない。
近年、太陽以外にも惑星を従えた恒星が続々と発見されるようになった。
このような、太陽以外の恒星を回る惑星を太陽系外惑星という。



1995年の発見以来、確認された太陽系外惑星の数は、増加の一途をたどっている。

日付太陽系外惑星の数
2008/5/31291個
2009/2/14339個
2010/11/27500個

(出展:PlanetQuest)



しかし、そのうちわけは木星型の惑星(ホットジュピター)と巨大地球型惑星(スーパーアース)が大部分を占め、地球サイズの惑星は発見されていない。

従来までの探査技術では、地球型の小型惑星は検出できなかったのだ。




太陽系外惑星の発見方法

「巨大望遠鏡を恒星に向け、その横にいる惑星を探す」というような発見方法は出来ない。

仮に惑星を持っていたとしても、恒星と惑星では光度差がありすぎて見つけることができないのだ。



そこで、太陽系外惑星の発見方法には、ドップラー偏移法、またはトランジット法を使用する。



もし、恒星の前面を惑星が通過すれば、惑星の影で恒星がわずかに減光する。
惑星は公転しているので、減光は同じ間隔で発生する。
この減光をキャッチして惑星の存在を確かめるのがトランジット法だ。

トランジット法
出展:Kepler Site



トランジットによる減光は1万分の1程度だ。
こんなわずかな光の変化をキャッチして惑星を見つけるのである。



これは、遠方から照明器具の光を観測して減光を捉え、照明器具の前面を通過する蛾を見つけるようなものである。
当然、系外惑星探査機に搭載される受光器も高い検出精度が要求される。

なお、トランジットとは、「前面を通過する」ことをいう。




系外惑星探査機ケプラーの技術

惑星が小さいほど、恒星の減光は目立たない。
このため、小型の地球型惑星は発見しにくいのだ。



系外惑星探査機ケプラーは、検出精度をさらに向上させた受光器を搭載している。
このため、従来では不可能であった小型のサイズの惑星も検出も可能になるという。



トランジットから次のトランジットまでの期間を調べれば、それがその惑星の公転周期である。
公転周期が分かると軌道半径も算出できる。
減光の量から惑星のサイズも分かる。



このようにして、太陽系外惑星が、ハビタブルゾーンにいるのかどうかが分かるのだ。




ケプラーによる惑星の数の予測方法

系外惑星探査機ケプラーは、個々の地球型惑星の発見を目指しているだけではない。
ハビタブルゾーンにいる地球型惑星が、どれくらいの割合であるのかを調査するのである。



このような惑星が非常に多く発見されたら、地球のような惑星は銀河系内で一般的な存在であると言える。
もし、このような惑星が2、3個しか発見できなかったら、地球は極めて稀な存在と判断できる。



このように、地球のような惑星の存在割合を統計的に把握するために、系外惑星探査機ケプラーは、10万個の恒星をターゲットにするのである。



トランジットが起こるためには、惑星の軌道が恒星の前面を通っている必要がある。
もし観測した恒星が地球型の惑星を持っていたとしても、軌道面が地球の方向から外れていると発見することはできない。



軌道面が地球を向いている確率は、おおよそ0.5%と見積もられている。
地球のような惑星の存在割合を算出するためには、この0.5%を加味すればいい。




系外惑星探査機ケプラーの探査エリア

系外惑星探査機ケプラーは、統計によって地球型惑星の数を見積もるため、全天をくまなく観測する必要はない。
はくちょう座こと座方面の限られたエリアに限定して探査する。



この場所は、黄道から離れているため、太陽光の影響を受けない。
また、カイパーベルトメインベルトからも離れているため、小型天体が視野を横切る可能性も低い。



また、系外惑星探査機ケプラーが見通す範囲も3000光年の範囲になる。

これをイメージにしたものが以下の図だ。

系外惑星探査機ケプラーの探査エリア

黄色い部分がケプラーが観測する範囲だ。
出展:Kepler Site



系外惑星探査機ケプラーが探査する銀河系内での領域が黄色で示されている。
意外と範囲が狭いように思えるかもしれない。
この黄色の範囲にある10万個の恒星を観測し、地球型惑星の総量を統計で見積もるのである。




系外惑星探査機ケプラーの視野

ケプラーの視野の視野は、100平方度の狭い範囲だ。
この範囲に450万個の恒星が写っている。
この中から、10万個をピックアップし地球型の惑星を探すのである。


出展:Kepler Site



この画像の右下が明るいのは天の川に近いからである。
反対に左上が暗い。これは銀河の北極に近いからである。




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参考文献・サイト

NASA:Kepler Mission
A search for habitable planets
Ames Research Center
NASA's Kepler Captures First Views of Planet-Hunting Territory

2008/03/20
2009/02/14
2009/04/17
2010/11/27



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