ホーキング織野の

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ほ座を語る。

トップページ銀河系の目次星座88星座ほ座

ほ座南天の星座である。
「ほ」は船の「帆」の意味である。 ほ座はギリシア神話に登場するアルゴ船の帆に由来する星座だ。



かつて、アルゴ船を表したアルゴ船座があった。
ほ座は、元々このアルゴ座の一部であったのだ。



アルゴ座は、あまりに巨大な星座だったので、ラカイユによって、ほ座とも座りゅうこつ座らしんばん座に分割された。



なお、アルゴ座は、トレミー48星座のひとつである。
トレミー48星座のうち、アルゴ座を除く47星座が現在の88星座に採用されている。



ほ座 ほ座
出展:IAU




ほ座にはα(アルファ)星がない

全天の88星座の中でα(アルファ)星がない星座が4つある。
ほ座はその一つだ。
しかも、ほ座にはα星だけでなくβ(ベータ)星もないのだ。



恒星を表すのに、α(アルファ)、β(ベータ)、γ(ガンマ)・・・といったギリシア語を利用する。これをバイエル符号という。
17世紀にバイエルが全天星図(ウラノメトリア)を発行した。
このとき星座ごとに明るさの順でアルファ、ベータ、ガンマとギリシャ文字を与えたことが始まりだ。



その後、多くの天文学者が独自に星座を考案した時期があった。
星座が乱立したために、星座がお互いに重なり合ってしまい、天文学界は混乱してしまった。



そこで国際天文学連盟が星座の世界標準をつくることになった。
1928年の総会で88星座が制定され、同時に各星座には境界線が定まった。



このとき、元々のアルゴ座ではなく、ラカイユが提案したほ座とも座りゅうこつ座らしんばん座が採用された。
アルゴ座の時代に与えられていたバイエル符号は、下表のように分割後の星座にそのまま引き継がれた。

バイエル記号読み方りゅうこつ座ほ座とも座
αアルファ
βベータ
γガンマ
δデルタ
εイプシロン
ζゼータ
ηエータ
θシータ
ιイオタ
κカッパ
λラムダ
μミュー
νニュー
ξクシー
οオミクロン
πパイ
ρロー
σシグマ
τタウ
υウプシロン
φファイ
χカイ
ψプシー
ωオメガ

α(アルファ)星、β(ベータ)星はりゅうこつ座の領域だったため、ほ座にはα(アルファ)星、β(ベータ)星がない。
ほ座では、γ(ガンマ)星が最も明るいのである。



ほ座の恒星

ほ座 [γ Vel]

太陽系から840光年の距離にある。
この星は6重星である。
その中の一つγ2ウォルフ・ライエ星である。



ほ座δ [δ Vel]

ほ座で2番目に明るい恒星である。
太陽系から80光年の距離にある四重連星である。

歳差のため西暦9000年に南極星になる。



ほ座λ [λ Vel]

ほ座で3番目に明るい恒星である。
太陽系から573光年の距離にあるK型星である。
不規則型の変光星でもある。




ほ座κ [κ Vel]

太陽系から539光年の距離にある分光連星である。
約117日で公転する。




ほ座の主な星雲・星団

ほ座にはメシエ天体がないが、次の星団星雲が有名である。



ガム星雲

ガム星雲は、1万年〜2万年前の超新星が残した超新星残骸である。

ほ座のガム星雲
ほ座のガム星雲
出典:Vela Supernova Remnant in Visible Light

実サイズは100光年、見かけの広さは40度以上に及ぶ。

ガムによって発見されたので、ガム星雲と呼ばれている。

NGC 2736はガム星雲の一部である。


爆発によって宇宙に四散したガスは、高速で広がっていく。
このとき、星間ガスと衝突し発光する。
これが、超新星残骸の発光原理だ。


超新星爆発によって、ガム星雲の中心には中性子星が残った。この中性子星はパルサーとして観測されている。



NGC3201

NGC3201は、ほ座の球状星団である。
1万5000光年の距離にある。



NGC2547

NGC2547は、ほ座の散開星団である。
2000光年の距離にある。



NGC3228

20個程度の恒星を含む散開星団である。
年齢4200万年と見積もられている。



IC2391

約30個の恒星からなる散開星団である。
500光年の距離にある。



IC2395

IC2395は散開星団である。
3000光年の距離にある。



NGC3132

NGC3132は、ほ座の惑星状星雲である。

ほ座の惑星状星雲NGC 3132
ほ座の惑星状星雲NGC 3132
出典:NGC 3132: The Eight Burst Nebula

2000光年の距離にある。

太陽に似た星が、末期に膨張して外層のガスを宇宙空間にまき散らした。

そのガスが光って、リング状に見えている。
中央に黒いスジが見えるが、よく分かっていない。



ほ座のその他の天体

PSR B0833-45

PSR B0833-45は ほ座パルサーとも呼ばれているエックス線源である。
ほ座パルサーは、ほ座に1万1000年ほど前に出現した超新星の名残である。
89ミリ秒で自転している。
X線以外にも、電波可視光ガンマ線を放射している。



ほ座X-1

HD 77581はエックス線源である。
これをほ座X-1という。




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参考文献・サイト

Constellations
Star Tales
Chandra X-ray Observatory
Vela Pulsar Glitch Caught - 2004 July 7
BBC:Constellations

2008/05/20
2009/10/23
2010/09/11
2015/08/27



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